第711回 日曜発明学校(2018/ 5/13)

5月の午前には、東研の第60回年次総会となりました。お陰様で昨年度も無事に運営でき、また今年度も引き続き、刺激ある、元気な会にしたいと思っていますので、皆さま、よろしくお願い致します。
総会に引き続き、第57回東研発明コンクールも行いました。こちらも、大勢の方からの出品があり、またすばらしいアイデア品もありました。当ホームページの「ようこそ 下段のお知らせ」に掲載しています。ご覧ください。

それら当日の特別講演は、東京理科大学教授の生越由美先生にお願いしました。
タイトルを「新製品に活かす伝統技術と発明の関係を考える。」とし、私たち発明を目指す者にとって、どのように伝統技術を見れば良いのかを教えていただきました。
 
お話の内容としては、まず社会の変化からです。農業社会から工業社会となり、今は知識社会とのことで、それぞれの社会の特徴を教えていただきました。知識社会では「もの」も大切ですが、「こと」を売ることも大切な時代とのことです。ホンダの本田宗一郎氏の「いかにして人間が自由にできる時間を多く獲得するか、これが現代のテーマ」という言葉を引用され、発明の目的がそれであるとの指摘もありました。また、今の高齢化社会到来とともに、福祉用品の発明などには、まだまだその余地が多いとのこと。また社会変化に合わせ、技術面だけでなく文化面も発明に取り入れるとよいとのことです。

発明品にどのような付加価値を付けるかという点で、「日本の伝統技術」がそれになり得るとのお話しでした。伝統技術が付加価値になることを、日本人自身も気づいていないとの指摘です。私たちは、伝統技術、伝統工芸品を見て、なぜ売れ続けているのかを見極める努力をし、その何であるかという部分を発明品に採用することができれば、成功に近づくということです。
近年の政治推移、「あーうー」の大平内閣、「平成」の小渕内閣、「ぶち壊す」の小泉内閣と変わる中、日本文化の大切さについても、多くの取り組みが継続されています。現在では、日本文化には大きな潜在力があり、これからの長寿社会に大いに役立つ知恵が含まれているという方向性とのことです。また、世界的観点からも説明がありました。万博を例に、それぞれの地域の伝統技術のブランド化が如何に重要であるかということです。残念ながら、日本は、そのブランド化がうまくないとのことです。例えば、日本の漆は美術的に優れているだけでなく抗菌作用も活用すべきこと、和紙の斬新な活用法、たたら製鐵の先端技術への適用などは、発明品の付加価値要素となっているとのことです。
私たちも、日本の伝統技術に興味を持ち、発明の観点から勉強をし、自信を持って発明に応用すれば、きっと外国にも強く主張できる商品になりますよ。このメッセージをいただくなど、まさに「目の覚める」ご講演でした。
私たちでもよく理解できる範囲を選択いただき、伝統技術と発明の関係のお話し、本当にありがとうございました。
生越先生には、東研発明コンクールでの審査もいただきました。最後には、コンクールの総評として、「課題を明確にすること」「J-PLAT-PATでよく調べること」「デザインなどで進化させるとアピールしやすい」「説明の際にはポイントを押さえて」「本日の出品の中には、権利化するといいものもありました」「身近な方で使い合い、意見を言い合い、レベルアップを図るとよい」「考え続けること。日本だけでなく、世界がマーケットなのです。仲間でマーケティングしながら進めて下さい」と説明および激励をいただきました。

第710回 日曜発明学校(2018/ 4/ 8)

午前の講演は、クリエーター都築数明様でした。愛知県知財総合支援窓口の平井様から、「東海地区ですばらしい活躍」としてご紹介をいただき、ご連絡をさせていただきました。本当に日本のあちこちに行かれているお忙しい方であることがわかりました。都築仏壇店の経営とともに、クロート・クリエーションを立ち上げられ、時代に合わせたユニークな創作活動をされています。

 
ご講演の要点です。さわりでは、独自の創作活動と仏壇の関わりをお話しいただきました。家制度が崩れている日本において、仏壇への要望が変わってきており、例えばペット仏壇など脚光を受ける時代背景を考え、今までにない発想から、「人間が入る」「角をつける」などの仏壇を創られたそうです。創作当初は、由緒ある三河仏壇のお歴々からは「三河仏壇を名乗るんでない!」、寺のお坊さんにはおこられるなど、四面楚歌から始まったとのことです。克服策は「おっしゃる通り」と言うこと。めげずに活動を続けられ、徐々に認められるようになったとのことです。
これらの活動の「心構え」「思い」についても教えていただきました。仏壇を作成するには8つの職種が必要、即ち近隣にその職人さんたちがいるということですが、仏壇が売れない時代のため、その職人技術を何とか他の産業に応用してもらえないか、伝統技術を守りつつ社会貢献になる、と発想されたそうです。
木魚の職人さんに至っては、全国で11人と少なくなっており、驚くことに全て愛知県におられるとのこと。衰退する伝統技術を守らないといけないという「正義」、これに今の時代に合う付加価値を想定され、「ウルトラ木魚」「漆マジンガーZ」などを製作したとのことです。それぞれ、かなりの高額にもかかわらず、国内外問わず、数多く出ているそうです。「正義」と「面白さ」の重なる部分を狙ったとのことですが、中々できることではありません。
「ウルトラ木魚」は、宗教とのコラボレーションでもあり、従来であればタブーの領域でした。また、ヒーローであるウルトラマンの顔を叩くとは何事か、とおこられることを想定されていた時、ウルトラマンのTV放映の中に「怪獣供養」という内容があることを発見されたとのこと。「ウルトラ木魚」と結びつけられたという、まさに偶然も手伝い、現在では円谷プロの式年供養に、ポクポクと「ウルトラ木魚」の顔が打たれているとのことでした。※ご講演当日は「ウルトラ木魚」出張中。どこかでポクポク・・・。
さらに「漆」を教えていただきました。「JAPAN」には「漆」という意味もあることから、漆とプラスチックは相性が悪いこと、世界に「漆」が広まってい理由に、日本のアニメーションが大いに貢献していることなどもいただきました。都築様は、「漆」とポップカルチャーとのコラボに取り組まれ、3Dプリンターを使った「どこでもうるしっき」に取り組まれているとのことでした。
今は、その活動をより強化するため、「三河職人セブン」を企画推進され、元々高度な技術を持っている職人の皆さまと、数多くの高精度の創作活動を展開されているとのことです。
幸せな町「幸田町」で生まれた都築様の創作活動、今後益々のご発展を大いに期待しております。
ご講演当日は、体温39度と体調不良の中、ずっと立ったままで、笑顔を絶やさずお話しをいただきました。ご講演の翌日には東京で「和田アキ子」コラボ企画が始まるというお忙しい中、本当にありがとうございました。

第709回 日曜発明学校(2018/ 3/11)

午前の講演は、旭電機化成株式会社専務、原 守男様でした。テーマを「企業が希望する個人発明のいろいろな事例と手順」として、期待通りの関西弁によるご講演をいただきました。 最初に、DVD映像で旭電機化成さま概要を見せていただき、どのような会社さまであるか、私たちが理解したうえでの本題ということです。

 
一台の車製造には、多額の金型代が掛っていることなど、ものづくりをする際には、初期投資がかかるということの前提から始まりです。作られている製品の中から、まず「レモンしぼり革命」「ごますり革命」のお話しです。実際にレモンを持ち込んでいただき、しぼりの体験も加えてもらいました。製品化には、本当に使い易いものである必要があるということです。この完成度にするには、それぞれにつき、長年の歳月と多くの試作が費やされていることを、言葉や画像などで伝えてもらいました。また、ネーミングについても、マスコミに受けてよかったなど、効果があった点としてお話しをいただきました。
続いて「とびでないラップホルダー」「コード巻き」です。それぞれにつき、発明された方との接触状況、製品化に至るまでの経緯など、具体的にここに書きはしませんが、人間模様といいますか、発明者の人生が見えるお話しでした。ビジネスから見れば、発明者として欠けている部分、突っ走ってしまう部分などを指摘いただいた訳です。
発案・思い付きから少しの試作品を作っただけでは、商品化にはさわり程度。その先には、パテント調査・設計デザイン・本格的な試作・量産・パッケージ・販売・・・などなど、多くの工程があるとのことです。それらを経てやっと商品化となることをしっかりと理解しておき、自分でできることは出来るだけ行っておいて、やっと企業の方に振り向いてもらえるという事です。試作品とは改善であり、本当に使える物に近づくということですから、特に身近な家族などの辛口評価を乗り越えて、試作を繰り返すことが重要であることを教えていただきました。
また、個人発明家として企業さまと付き合うには当然相性もあります。機会ある毎に顔を覚えてもらう努力を忘れず、また個人発明に少し手慣れた企業さまの方が組みやすいこともあるとのことでした。また、はれてパテント契約などとなった後でも、企業さまの活動に影響を与える個人販売活動は余り好ましくない事や、お金のにおいを出し過ぎることもよろしくないなど、ご経験に裏打ちされた、説得力のある注意点を聞かせてもらいました。
お忙しい中、私たちのためにご講演いただき、本当にありがとうございました。

※原専務さまには、午後の研究発表にも参加いただきました。いずれの発表も可能性があると講評いただきました。ありがとうございました。

第708回 日曜発明学校(2018/ 2/11)

午前中のご講演は、ママのアイディア工房株式会社の社長、鈴木未夏子様でした。テーマを「発明主婦が社長になった理由(わけ)と現在(いま)」としてお話しをいただきました。

 

 

 始まりから、いきなり主力商品「ランチクロス」の販売実情という内容でした。2015年に商品化した初年度は、直販主体。ハンドメイド展やデザインフェスタなどで販売をされたそうです。その際の年間売上を教えていただき、大変参考になりました。商品単価から計算しても、初年度で数百個の販売をされたということです。さて、其ののち販売数字は右肩上がり一直線、今年度(3月末)の売上予測数字もご披露いただきました。まずは、ズバリ私たちの聞きたい事「どれほど儲かっているのか」を見抜いてのご説明であり、誠にスッキリするご講演構成としていただきました。お話しの中には、女性起業塾、支援金、事業計画作成など、ビジネス化に向けての取り組みをすることも重要であり、鈴木様の場合は「アイディアを普及させたい」という強い願望があり、それがいろいろな活動の後押しをしたとのご説明がありました。
其のあと、具体的なビジネス活動についてのお話しとなります。
まず、中国・インド・国内での縫製についてでした。ご講演当日も、午後に縫製関係の方と打合せをされるほど、常によりよいパートナーと接触されているとのことです。「NUTTE」というサイトなども利用されていること、勉強になります。中国のご苦労話もありました。
次にパッケージのお話しです。JANコードの取得については、会員メンバーとのやり取りなども加えていただきました。今の時代に必要な「洗濯表示」「原材料表示」「取り扱い表示」「サイズ表示」などについても、経験談をいただきました。
続いて「値段」の付け方についてのお話しです。考え方は、「販売していくらほど儲けるのか」も重要であるが、まず直接に店に行って「いくらで売っているのか」を自分で腹に入れることとのアドバイスです。資本の少ない方が負けるという厳しい指摘を含んでのお話しでした。
販促活動・売り込みについてのお話しが続きます。東急ハ○ズ○○店で、最もよい陳列ポジションを獲得されるまでに、どのような活動をされたのか、多くの努力をあることを知りました。「動けは動くほど手札が増える」とのメッセージは、ビジネスを始める基本姿勢であることを
教えていただいた次第です。
鈴木様のお子様が、自身の商品「ランチクロス」でちょうちょう結びができたときの笑顔、これが報酬です、とも伺いました。私たちに対し、やる気・元気のもとは大切にし、ものを作る時代から自分の商品を作り販売する、いわゆるセルフプロデュースの時代であることを理解しておき、地道な活動で自信を付けることが大切です、と力強いアドバイスをいただきました。
お忙しい中、また9才・7才・4才のお子様を東京に残したまま、名古屋までお越しいただき、貴重なご講演と楽しい時間を作っていただきまた。本当にありがとうございました。
「一家に一つランチクロス!」に向け、この後も益々発展されんことを期待しております。
※ランチクロスの即売や女性メンバーとの食事会などもありがとうございました。

第707回 日曜発明学校(2018/ 1/14)

午前中のご講演は、一般社団法人発明学会の黒田晃様でした。テーマを「商品化の念願、平坦でも茨でもなく運次第でもない、自分で作って行く階段」としていただき、発明学会の中でのご経験の数々から導かれた「商品化」への道筋をお教えいただきました。

東研に合わせ、目次(レジメ)を準備いただき、また多くの発明学会さま資料も配布してもらいました。「身近なヒント発明展」と「ミニコンクール」の違いもはっきり理解することもできました。新春にふさわしく、私たちの商品化を祈願していただくこととなり、本当にありがとうございました。この後は、私たちが自分で進んでゆくという事です。
さて、講演内容について、要点を以下とします。
まず出願書類についてです。権利化を目指すには、あまり力を入れない記載項目があることは知っていましたが、商品化を目指す為には、しっかりと順序に合わせ書く事が良いということを教えていただきました。例えば次のようなことで商品化が近くなるということです。
(1)消費者がスッーと手を出してくれるのか。売り場はどこであり、誰に買ってもらうのかなど、想定しているのか。説明書を読まずして、すぐに何かが分かるようにしないといけない。(2)高度な知識を出すのではなく、少し素朴な振りをするぐらいがちょうど企業が振り向く場合もある。(3)類似商品はどのようなものがあるのか、私はここまで調べています、というメッセージは有効。(4)部材・部品なども検討し、コストに耐えられるかも考えている。・・・・など。
これら(1)~(4)を、明細書の順番に立ち返り、自分はどの程度・段階まで来ているのかを確認しつつ、また進める。これが良いとのことです。即ち、明細書の順
番に従い内容をしっかり書く事が、商品化への近道であるということを教えていただきました。
次に試作品作成の必要性です。試作品を考え続けることで、ふっとアイデアから飛び込んでくることもある、そこまで考え続けると良いという事です。考え続ければ、寝ている際にも自然と問題が整理され、サァーと進むことがあるとのことです。考える事に加え、多くの試作品を作ることがまた商品化への道とのことです。企業の方と打合せをする場合に、その考案品が評価されると同時に、発明者自身も評価されているとのことです。アイデアを説明する際に、数多くの試作品を作っていれば、話自身の説得力は高くなり、また企業側からすれば商品化への多くのテストが省略される点など、メリットは絶大ということです。試作品を作り、課題を乗り越え、また作ることを多く繰り返すことの重要さを、しっかりと教えていただきました。
商品化への「売り込み」についても「その機会」を教えていただきました。商品化の製造販売支援してもらう企業側にも、いろいろなタイミングがあるため、いいものであっても採用されないタイミングが多い。それを克服するため、発明学会さまで「身近なヒント発明展」と「ミニコンクール」があり、その違いのご説明とともに、申込みの際の売り込みポイントなどを教えていただきました。自己紹介をしっかりと書く、試作品は数多くの作成努力をしておくなどです。アイデアが盗まれる心配は、どうしても可能性としてあるが、盗まれるぐらいのアイデアがすばらしいと腹をくくり、いろいろなコンクールに応募するとよいとのアドバイスをいただきました。
今回のお話しを聞き終えれば、まさにタイトル通り「商品化は、平坦ではない。ただし茨でもなさそう。また運だけではない。自分で、繰り返し試作品を作るとともに、売り込みの機会を積極的に活用して行く、だれにでも昇って行ける階段である」ことがよくわかりました。新年早々の時期、わざわざ名古屋までお越しいただき、本当にありがとうございました。

第706回 日曜発明学校(2017/12/10)

午前中のご講演は、特許法律事務所「樹樹」弁護士・弁理士の加藤光宏様でした。数多くの知財案件を扱われておられる先生です。今回は、私たちに「知っておきたい契約の話」と題し、実例を多く取り入れ、わかりやすいお話しをいただきました。ありがとうございました。

契約という言葉からは、堅くて難しい世界であり、細かな字でいっぱい書いてあるものであり、殆ど読まなくても生きていけるものであり、保証人になると借金の肩代わりをさせられる恐いモノと思っています。

このイメージに対し、丁寧に教えていただいたのです。恐れるものでなく、自分にとっても書き換えられるものであり、また将来のことも考えて結んでおくてよいなどです。

恐れるものではないについては、「強行規定」という法律があり、よく聞く「常識外れの契約内容」は無効になることもあるということです。私はずっと、違法駐車10万円はないだろう、と思っていたので、大いに納得です。契約の文面通りに判断する欧米とは少し異なり、日本ではいくらかやわらかい解釈もあるとのことでした。きっと、それが日本なのでしょう。

さて、私にとっては発明に関する契約の場面は未だないのですが、きっと近い将来にあると思い、契約の文面についてのお話しを聞いていました。まず、心構えについてですが、「有利」と「利益」の違いがありました。オレンジを例にとったご説明、皆さん覚えていますか? 中身が欲しい人とマーマレードを作りたい人の話ですが、相手を理解して契約を結ぶとよい契約になるということです。なるほど。

契約書の押印・表現なども、今まで思っていたものとはいくらか異なることを教えていただきました。

そしてライセンス契約のお話しです。「さしすせそ」でライセンサーとシー、この覚え方は記憶しました。大河ドラマの真田紐がライセンス契約である、???、たまたま見ていたシーンなのでよくわかりました。アイデアとは、製作し販売できる人を集め、やってみようという気分になってもらい、実行してもらうということです。その際に、「真田の紐と言う事」など、行ってもらいたい条件をしっかりと約束しておくということ、まさにドラマの内容が契約であることがよくわかりました。

契約には、少し将来の事も考えておくと良いというお話しもありました。将来的に、どのように応用されてゆくかが分からないので、どのように使われても権利が継続するよう、契約内容を限定しないような文面に工夫しておくと良いということでした。また、どこかの会社と「販売数によってロイヤルティをもらう」契約の際、その会社が正確に販売数を教えてくれるのかについてですが、簡単に嘘がつけることなので、何とかならないかとずっと気になっていました。過去、東研の中でも、「契約している会社から販売数が正確に教えてもらえなくなったので、結局・・・・」などと話をされていた方もありました。効果的な策はないのかと思っていたのですが、今回、そのあたりを第三者をたてる契約でしっかりとさせることを教えていただきました。いゃ、スッキリしました。

聞き終えてみれば、契約を友好にいくか敵対でいくか、いずれの場合も相手の利益も考慮し、また将来的に不利にならぬよう契約内容は限定しないように工夫し、ロイヤルティ数量もはっきりとさせる契約が大切ということわかった次第です。何か、契約をしているシーンが来るような気がしました。

加藤先生、お忙しい中、やさしく丁寧に「私たちの聞きたい内容」を押さえたご講演をいただきまして、本当にありがとうございました。ご相談に伺うまでになるよう、頑張りたいと思います。

 

第705回 日曜発明学校(2017/11/12)

午前中のご講演は、おもちゃデザイナー・パフォーマーの相沢康夫様でした。積み木のトップブランド、スイス「ネフ社」の日本人デザイナー、名誉あることあり、加えて漫画家や積み木パフォーマーなど、多くのすばらしい面・能力をお持ちの相沢先生です。今回、東研では「あそびをデザインする。ひらめきスイッチ!!」と題し、おもちゃとの長く・親しく・やさしく・楽しく接してこられたご経験談と、多くの種類の積木を使っての「本当に楽しいオモチャパフォーマンス」をご披露いただきました。

最初、発明についてお話しがありました。小さいころから「発明はあこがれのことば」であり、その後、積木そのものを創作することをしてきたが、それは発明というよりは「発見」に近いというお話しでした。積めそうにないようなユニークな形状の積木を独創し、何度も何度も挑戦・失敗を繰り返し、絶妙のバランスで積み上げ、想定していた形や、場合によっては予想外のすばらしい形ができた際の感動を、独創的な形の積木本体と積み上げたバランス立体を「発見」ということばで示されました。

その実演・パフォーマンスが楽しく、笑えて、驚き、本当にすばらしい。どれほど多くの時間を費やされたのかはわかりませんが、絶妙なバランスと感動を与える完成形、それらの組立て過程や完成時に合った絶妙なトークとともに、積木の深さを教えていただきました。使われた積木は、相沢先生の作品含め、「ハニカム」「ヴィボ」「ボーン」「レインボー」「ネフスピール」「アングーラ」などですが、それぞれの個性を十二分に理解しておられると思い、見惚れていました。

↓「ハニカム」でのバランス ↓お気に入り「アングーラ」 ↓新刊本のご紹介

  

  

↑悩める「レインボー」  ↑蟹の「ネフスピール」  ↑トンボ「リグノ」

先生の今までの活動では、一貫して「自分はデザイナーである」という立ち位置を貫き、商品化採用を待つというスタイルを続けて来られたとのことです。誠に骨のある生き方、すばらしく、大変参考になりました。その信念の生き方を伝える方法として、今回の新刊本「ひらめきスイッチ」発売や、それに合わせた全国個展・パフォーマンスツアーをされているのかな、と思いました。

東研には、その活動の真っ只中であるにも関わらず、お越しいただけました。本当にありがたいことです。新刊本がベストセラーとなり、益々ご活躍されることを期待します。今回ご披露いただきました積木は、年齢を問わずすばらしいものです。さらに世の中に普及してもらいたいものです。

※ペガサスの進化もよろしくお願いします。

 

第704回 日曜発明学校(2017/10/ 8)

午前中のご講演は、名城大学名誉教授工学博士の杉下潤二様でした。演題を「自然に学ぶ材料開発」として、幅広い知識と多くのご経験に基づく、示唆に富んだお話しをいただきました。
以下、簡単にお話しの内容をご紹介します。
まず、「材料」というものが大変大切なものであり、身近なものであるということを、漢字を例として教えてもらいました。金偏の漢字は141文字ある。草冠は278文字、木偏296文字、一番多いのは糸偏306文字とのことです。植物の偏が圧倒的に多く、普段何気なく使っている「機械」という漢字も金偏ではなく木偏ですよ、もともと木で・・・という分かりやすいお話しです。橋の材料が、木・石から鉄になっているように、従来からあったモノが変化していることや、電化製品など新しく身の回りに現われたモノも、材料進化とともに製作されてきた事を説明いただいたのです。
材料を自然界から眺めてみると、その「強さ」の観点もポイントとのことです。雑草オオバコの茎をつかった相撲、スイカは吊り下げ育てれば茎がしっかりする、オニシバリの隔壁構造は鬼を縛れるほどの強さであること、日立の木(TVコマーシャルで出る大きな木、モンキーポッドと言うそうです)の枝の強さ、それに比べ兼六園の雪吊りをされている木は弱いことなど教えていただきました。その木の強弱は、専門的には「あて材」が発生するか否かとのことです。私の理解したところでは、人の手を入れすぎると自然は弱くなる、という事かと思い聞いておりました。
その後も、専門的なお話しを数多くの事例を取り入れ、ご説明いただきました。孟宗竹は軟鋼に匹敵する強さを持っていること、木材を切った際の中心部分とその周りとの違い、比重が1.28という水に沈んでしまうリグナムバイタという木材が、金属を押しのけ軸受材料として使われていることなど、いずれもその強度と材料としての価値が高いこと、さらに自然界には技術者が参考にすべきことが多く含まれているといった内容です。金属関係では、相性の悪いモノ同志を合わせることで、すばらしい材料に生まれ変わることも教わりました。材料同志が接触し、こすれる際に、すり減ってはいけません。摩耗を少なく摩擦係数を少なくする工夫がモノづくりには必要とのことで、その点で、動物の関節のしくみが本当に素晴らしい事も教えていただきました。
さらに、「傾斜機能性複合材料」という高度技術のお話しを、スペースシャトルの耐熱タイルの例や、ローマ時代の靴底などの話を入れ、現代の自動車エンジン内では高度なバランスをとった金属複合材料の組み合わせであることを、現物を手で触れさせていただくなどし、説明してもらえました。
終盤には、材料の自己修復性・自己防衛性のお話しであり、私も今まで全く知りませんでしたが、生物ではない自然のモノにも、もしかすると自己修復性や防衛性があるかもしれない、という先生独自のご見解を伺う事が出来ました。モノにも意志があるということ、私個人的には非常に興味のあるお話しであり、ある種のロマンを感じます。
「人間はいろいろと実現をしてきた。この後も、いろいろな問題・課題が出るだろう。それに対し、パイオニアで進む事が大事であり、必ず課題は解決する。日本はそうあるべきだ。」との締めでした。
アイデアの直感でモノを考案したとしても、実用的なモノに仕上げるには材料選定があります。その「材料」という世界が奥深く、進化していることを知りました。また、自然界のすばらしさを再確認した時間となりました。杉下先生、すばらしいお話しをいただき、本当にありがとうございました。
※歴史・邪馬台国のお話しなど含め、またの機会が来ましたら、よろしくお願いいたします。

  

第703回 日曜発明学校(2017/ 9/10)

午前中のご講演は、株式会社河合電器製作所の技術部マネージャーをされています横地茂さまでした。お忙しい中、私たちの会にお越しいただきました。また、今回のご講演の調整をしていただきました営業推進部の広報リーダー神田宏美さまにもご一緒頂いた次第です。ありがとうございました。

最初は、新聞記事掲載になりましたラボ施設「KARUTA」でした。社員さまも建築の一部を設計されたとのこと、会社さまが重視されている「社員創造力」の賜物とのことでした。

そのご説明の後、会社さまや製品のご紹介となります。ヒーターという製品群を、三つに分け、やさしく具体的に教えていただきました。シーズヒーターとカートリッジヒーター、それに面状ヒーターがあることから始まり、河合電器さまはハンダゴテ製造に携われておられた事などの経緯をお話しいただきました。その後の具体的な事例は、お取り扱いのヒーターは、まさに多様な場所で使われていること、それぞれの機器の中身を思い浮かべる事が出来るお話しとなりました。

家電向けの利用例から始まります。電気コンロ・ロースター利用で、醤油などを垂らすなどして課題をクリアしてゆく試験のエピソード。グリル付オーブン(電子レンジ)での利用では、焼き加減などの微調整にご苦労をされたお話し。お客様である家電メーカーさまからの不可能とも言える二倍の増産要請に、工場の方と一体となったライン増設をされたお話し。温水シャワーに至っては、ポコポコと音が出ないようにする調整をされたお話しなど、ひとつひとつイメージが抱けるように説明をいただきました。

さらには、パーマで使うヒーターでの工夫、自動販売機ではヒートポンプとの競争で苦労されたお話し、保育器でのヒーター利用では、体温と温湿度、感染症の関係から、難しい調整が必要であったことなど、私たちの生活を維持する上で、何気なく利用している機器にヒーターが数多く利用されていることに気付く事が出来た次第です。さらに、風力発電、カミソリ滅菌、工場ではせんべい製造ラインでの活用、パッキングの熱溶着シール、製本機、グルーガンなど、それぞれに工夫を凝らしたヒーターが利用されていることが理解できました。

まさに、ひとつひとつのヒーター利用について、個々に慎重に対応することが必要であり、それぞれに対し、研究・試験・各種調整をされている、まさにヒーターのプロフェッショナルであることを教えていただきました。

それらで使われているヒーターの実物も会場にお持ちいただきました。私たちも、その実物に触れることもでき、その際には、神田さまにも本当に丁寧な説明をいただきました。ありがとうございました。

さらにその後、私たちのために「特許事例」をご披露いただきました。ヒーターを使う際に空焚き防止を如何に行うか、熱伝導率とその配置を工夫され、目標時間以内で正常動作する機構を特許取得されたというお話しでした。ヒーターという大変便利な機構は、安全安心の観点からも、本当に重要であることを教えていただきました。

締めとして、会社さまで実施されている「バランスのよい思考法」「変化と進化」「創造力を高める」など、誠に積極的であり創造性を高める活動をされていることをお教えいただきました。社長さま主導の「佐久塾」「体験研修」「異業種交流」など、まことにすばらしい会社さまであること、よく理解させていただきました。河合電器製作所さまの益々のご発展を期待しております。今回は、本当にありがとうございました。

 

第702回 日曜発明学校(2017/ 8/ 6)

近年夏恒例でお願いしております内田弁理士のご講演でした。東研夏期講座といったところです。さわりとして、創意国際特許事務所のご紹介と、類似品問題は特許権を取得し相手に知らしめることでかなり解決している実例などをいただきました。

さて、今回の新ネタは「脳・老化度」のお話しでした。皆さまは、「感情老化度テスト」をされましたか。若さ・老化防止には、身体能力もさることながら、脳、特に前頭葉が極めて重要な働きをしているということです。大きくいえば、脳には二つの回路があり、本能系の回路がひとつです。判断・反応型であり、爬虫類から持っている回路とのことです。もうひとつが知性の回路であり、前頭葉にあるそうです。この知性の回路こそが、意欲や創造性を発揮させるものであり、自分自身の感情状態を認識し、その感情を制御し、動機付けたりするという、特にアイデア品・発明品などを目指す私たちにとっては、誠に重要に回路とのことです。その回路がどの程度であるか、「感情老化度テスト」を行い、結果に合わせ、若さを保つための努力をしましょうという勉強でした。

新しい事に挑戦するということは、脳にとっては最上級の刺激とのことです。起業・副業などに挑戦するということがよいとのことですので、私たちも少しでも新しい事にチャレンジしたいものです。

脳の勉強した後は、私たちが覚えておくべき事として、①発明・デザインは質より量を重視しよう ②発明に至る円錐図にあるよう、知識を多く知った上で創造力を加え、発明に至ろう ③緻密な観察をもってメカニカル発想法を身につけよう この三点を教えていただきました。

脳の刺激で、当日のご講演タイトル「発明でいつまでも若く!」というメッセージをいただくことができました。

今回は、さらに用途発明なるお話しをいただきました。既に知っているものでも、新たな用途を見出した場合でも発明に値するということです。例として、「これを食べると二日酔いが治まるもの」などとのことです、語り継がれる言葉の中にありそうです。先生からの実例は、「秦野市の古谷氏が特許取得し商売をされている内容でした。映像を使ってのご説明をいただきました。落花生を麺類の中にまぶし入れることで、舌触り・歯応えに特徴を持つ新しい食材になるとのこと、商品名を「はだの落花生そば・うどん・ラーメン」とのことです。合わせて古谷氏は、日頃から使いにくいと思っていたそば打ち道具についても、独自の考案を施し、こちらは、「そば打ちツルツルファミリー」として好評販売中とのことでした。用途発明に関する勉強をさせていただいたご講演となりました。内田先生、毎回のネタを考えていただくところから、本当にありがとうございました。