活動報告

毎月行っている日曜発明学校の報告をします。
※2014(平成26)年4月より報告を開始しています

活動報告

第740回 日曜発明学校(2021/4/11)

ご講演は、株式会社 維 研の町田社長様でした。タイトル『体育会系が発明???』の通り、体育系のお話しをしっかり入れ、元気を大いにいただきました。随所に笑いの要素を入れていただき、また所々にスポーツから体得された哲学もあります。維研という会社様の経緯であり、それは町田様御一家の歴史のお話しでもありました。東研に配慮いただいた内容、明るく楽しくお話しいただき、感謝申し上げます。
町田社長のスポーツ経歴には、驚くやら、うらやましいやらの連続です。中学・高校・大学・社会人に渡り、バスケット、陸上、テニス、ラグビー、スキー、ウィンドサーフィン、ゴルフなど、いずれもスポーツ万能の実績結果を数々お持ちです。(スポーツマンガの主人公の様でしたわ)

いずれのスポーツに対しても、上達ポイントを習得するだけというよりは、その神髄を見極めようと努力をされている町田社長の取り組み姿勢が、よくわかりました。
時に、スポーツの試練となるケガや失敗があります。その時々に感じられた人生訓なども披露いただきました。「絶好調の時こそ魔が差す」「ニュートラルポジションは人生の役に立つ」「アゲインストの風でも前に進める」「平常心を保つにはルーティーン」などです。いずれも笑顔で楽し気なお話しぶりでした。
さて、そのスポーツの経験談とともに、会社状況のご説明を加えてもらっています。創業の時期、オイルショック不況のよる自転車操業時代、江南繊維業自体の衰退時期、滝壺に落ちてゆく気持ちなどのお話しです。それぞれの困難克服に、スポーツから悟った訓示を活用されたとのことです。
明るく楽しくお話しされていますが、計り知れない苦難を克服されてきたと拝察いたします。
ご講演時のお話しぶりも異例のものでした。身振り手振りどころではありません。本格的にスポーツをされてきた、その洗練された美しいフォームなどを見せていただきました。
「胸キュン」「金縛り脱出法」「6拍子がいい。南無妙法蓮華経だ」「ベトナムのひとを美人にするコツ」「半袖より長袖が涼しいという逆転発想」など、センス良い独自の技・着想・世界観も盛りだくさんのお話しでした。
現在は、新商品Cool Silverはじめ、新しいビジネスへの転換へのお取組み真っ最中とのことです。そんな中、私ども東研のために時間をお取りいただきましたこと、本当にありがたいことであります。
今後、株式会社維研様および町田社長様の益々のご発展を期待するとともに、ケガのない明るく楽しいスポーツ人生を極められんことを祈っております。

第739回 日曜発明学校(2021/3/14)

ご講演は、東海中央クリニックの院長、李節先生。何と13年振りの東研ご講演となります。演題は「若さを保つために考えること」として、楽しく参考になるお話しをいただきました。
まず、東研との関わりなどのお話しがありました。以前は、東研で研究発表もしていただいたとのことです。
テーマに「若さを保つ」とあります。先生ご自身も還暦を超えられたとのことですが、本当に若々しい風貌お姿でありました。また、話され方も丁寧であり、声質もかなりの若さを保たれているようにも感じました。
お話しの中、還暦記念として、世界で2番目に高いバンジージャンプをしたとの映像を拝見した時は、若さというより、何と度胸のある方だと感心してしまいました。また、近くの公園にあるオペラハウスのお話しに至っては、豊かな感受性もお持ちとわかりました。心身ともに若く溌剌とされ、すばらしい人生を送られていること、よくわかりました。その理由のひとつに、発明のあることも。

  
お話しの要点を以下とします。内容を忘れないようにしたいと思います。
まず、肌をきれいに保つための三大原則は、「紫外線を避ける」「石鹸を使わない」「タバコを吸わない」ということです。私は、すべてアウトです。どうりで、顔にしみ・しわ・たるみがあるはずです。いくつもの事例を、具体的に写真・映像などでわかりやすくご説明いただきました。海にとって一番危険な動物は、ひと。肌に悪いものに、ボディソープ。家に帰って、石鹸を全て捨てなければなりません。パン職人さんの手、言われれば衛生管理などと言って、消毒ばかりしている世界、何かおかしいと思っていましたが、若さを保つことの障害になっていることがよくわかりました。
顔のお話しとなります。こちらも、いろいろな映像などでの説明でした。人相の悪い人が改善した例。私には、大いに参考となる内容でした。中国の美男美女として、周恩来と奥様の話がありました。美人の基準が変化する使われる例としては、本当にわかりやすいものでした。
美を意識し化粧や整形ができるのは人間だけ。としての映像は過激すぎます。中国の女の子が、ネットで知り合った男性と会うとなった時の変身ぶりには、ビックリを通り越し、唖然としてしまいます。如何に男が騙されてきたか。それでもいいのですが・・・。
顔の筋肉のお話しは、大いに参考とさせていただきます。眼瞼挙筋の使い方は初めて聞きました。また、筋肉を使えば、別の筋肉も影響を受け鍛えられるという内容は、大いに参考にさせていただきます。
今までの特許に取り組まれた事例として、ピペトップ、ニーヨンカード、うのみくん、安全ピーラーの説明をいただきました。いずれもすばらしい発明品であり、本当にひとにやさしいモノばかりです。若さを手持つには、頭の体操、発明も大変効果があること、教えていただきました。
いつまでも元気で若々しい院長として、東海中央クリニック様の益々の社会貢献を期待申し上げます。李先生には、お忙しい中、本当にありがとうございました。引き続き、東研もよろしくお願いいたします。

第738回 日曜発明学校(2020/12/13)

ご講演は、中部経済産業局の知的財産室室長、村田泰利様でした。同室からは、2年毎に会にお越しいただき、最新の知財情報を教えていただいています。今回は、演題を「ウィズコロナ/ポストコロナ時代における知的財産行政のあり方」とし、概要は、以下とご予定いただいていました。『今年に入り新型コロナウイルスの感染が発生・拡大し、我が国企業も大きな打撃を受け、個人ベースでも働き方の見直し等、影響は世界規模で広がっています。知的財産分野においても、例外ではなく特許出願の減少や企業内における知財活動の停滞等の大きな影響が出ると考えられています。今回の講演では、このようなウィズコロナ/ポストコロナ時代における知的財産行政のあり方を紹介しつつ、中部地域における知的財産支援施策についても紹介する。』
ご講演に際し、70ページ以上に及ぶ資料を配布いただきました。すばらしい内容の資料です。少々難しいのでが、その中身を、やさしく丁寧にお話しをいただきました。

 
まず「知的財産を取り巻く現状」の章です。三重ご出身であること、海外でのご経験の話から始まり、続いて資料のお話しがありました。世界の特許第一号はワットの蒸気機関、現在のスマホは、何と、何万もの特許技術が入っているなどの話を経て、企業としての特許への取り組みも変わってきた。自前主義が、オープンクローズの時代になってきたということを、まず教えていただきました。また、世界の五大特許庁について、資料にある統計データのポイントをやさしく解説いただきました。「出せと言えば出る」という中国、「米からはウォークマンは現れない」ヤングレポート、「特に電気分野が落ちている」「知財の使用料獲得面では、超優良」の日本など、過去経緯と現状の大枠についてご説明いただきました。10年20年の知財の蓄積こそが大切であることを、今の日本の危機感と合わせ、教えていただいたのです。その中、個人発明家として「全部を出願するのではなく、肝心なところを出願すること」とのアドバイスもありました。
次は「特許、意匠、商標、審判の現状と取組」です。特許審査官をされていたお話しもあり、審査官は中々表にでない存在であるとのことを聞きました。また、日本の審査官が特に優秀であること、最近は世界中の文献を調査しないといけないことなど、国益をしっかりと守っていただいていることが、よくわかりました。
そして「近年の主要な取組」「コロナ禍の影響・まとめ」です。ここについては、村田様の意見も多くありました。問題が起きてからでは話にならない。地方創生と言い東京のオフィスで会議をしていることに対する違和感など、私とはレベルは随分異りますが、感覚的にわかるお話しでした。「四の五の言わず、商標は取ってください。設備投資に比べれば、たやすいものです。」との言葉は印象に残りました。コロナ禍で、企業でも特許の発掘作業が困難になっている現状があることも教えていただきました。
J-PLAT-PATの開発にも携わられ、公平公正な審査をしっかりと行われていること、よくわかりました。個人発明家の出願は、「とにかく詳細説明をしっかり多く書くこと。」がポイントであることも教えていただきました。
村田様には、本当にお忙しい中、お越しいただきました。益々のご活躍を期待しております。ありがとうございました。

第737回 日曜発明学校(2020/11/8)

ご講演は、有限会社大橋量器の代表取締役、大橋博行様でした。演題を「伝統と地場産業の生きる道」として、最初に、全国の〼製造シェア80%の大垣市と名古屋市の堀川沿いとの、ご縁から教えていただきました。明治時代に名古屋で修行をした職人さんにより、大垣での〼作りが始まったとのことです。
大橋量器という会社様のお話しがありました。1950年創業の会社様です。大橋博行社長は、大手IT企業に勤務されていた最中に、家業の大橋量器を継がれ、現在は、〼製造団体を取りまとめたり、地域各種団体の活動を精力的にこなされています。
まず、教えていただいたのは、〼の基本のお話しでした。計量単位として「一合」はよく聞きますが、その前後10倍ずつで変わってゆく単位は「一勺<一合<一升<一斗<一石」を教わりました。また、〼の材料であるヒノキについても、日本の森林率の話や沖縄首里城の建材の話などを織り交ぜ、香りや抗菌効果などのある木材であることを説明いただきました。

 
続いて、家業を継がれた後、現在までのご苦労話がありました。私どもが、一番伺いたいところです。お父様との考えの違いは、場合により振り切り、新しい事への数々の挑戦をされてこられたお話しでした。「販路の開拓」「量から品質への転換」「強みを生かすこと」「NO!と言わない営業」など、それぞれ、いくつもの失敗や反省を重ねられたとのことです。〼にこだわる、〼という製品を、しっかりとじっくりと見つめ、時に、お父様との取っ組み合いもあったことなど、生々しいお話しをご披露いただきました。
その経緯を、第一の危機「自分の力不足」、第二の危機「需要の減退」に整理されていること、経営者様でしかわからない世界と感じました。
現在のビジネスになる「ターニング・ポイント」もお話しいただけました。B2Cを狙った実店舗の時です。奥の細道、結びの地に、「桝工房ますや」を開設された時が、その時期とされていました。大手メディアとのお付き合いも、その時点からスタートしたとのことです。その時に女神が降りてきたのかな、などと思い、話を伺っていました。現在では、Webshop「桝工房桝屋」も開設されているとのことです。
店舗での活動と合わせ、経産省「地域資源活用プログラム」や、長期インターンシップの活用などにも積極参加され、学生など若手の意見を尊重され、新ビジネス展開をされてこられました。デザイナーの方々とのコラボ、海外への積極展開など、その精力的なご活動は、なかなかできるものではありません。多くの意見を聞き取り、それをモノとして実現させ、販路を開拓してゆくことなど、いずれも難しいこと、それを行われています。
現在も、新需要を作ることを念頭に、多くの特に若い力とともに〼の可能性を追求しておられるとのこと、よくわかりました。
〼文化の普及促進および大橋量器様ビジネスの益々のご発展をご活躍を大いに期待しております。本日は、丁寧でやさしいご説明、ありがとうございました。

第736回 日曜発明学校(2020/10/11)

ご講演は、東研顧問弁理士の内田昌宏様でした。講演は今回が8回目です。「発明ノートと発明ノウハウ」として、個人発明家として、その根幹に持つべきものを教えていただきました。今回も、期待通りの「刺激的」な内容でした。
『私たちが取り組んでいる発明は、健康的であるため、堂々と精力的に行うと良い』。これを、整理された内容として、わかりやすく説明いただいたのです。東研での8回に渡る講演内容の変遷、ご自身の発明実践から導き出された統計的判断、参考となる書籍披露と内容紹介などを巧みに合わせた筋書きで、内田オリジナルの「発明ノートを基にした発明ノウハウ」をご披露いただきました。以下、記憶に残った項目です。
 
東研講演の変遷では、「一攫千金」から「発明で脳トレ」にテーマが変わってきていること、これを、ご自身の発明実践を入れて説明いただきました。先生は、一千件を超える発明アイデアをノートに記録され、その発明品質を分析されたそうです。その結論の一つに、「今の時代、一攫千金はありえない」が導き出されたということでした。では、何を目指して発明活動をすればよいのでしょうか。その答えは、脳トレです。「発明は健康に良い」、脳トレ、前頭葉のトレーニングには、発明が最も良い事を教えていただきました。発想して作ってみること、「着想」と「具現化」が発明行動には必要であり、それが前頭葉の老化を防ぐ。前頭葉が老化すると、他の脳部分の老化がなびく。前頭葉を老化させない「発明行動」は、老化防止効果が抜群であるとのことです。 ※会員の皆様、思いついたアイデアを、具体的なモノとして作ってみるまでが大切です。大いに試作品製作まで頑張りましょう、老化しません。
これらのお話しの中に、数多くの著名人紹介も含めてもらっています。一番にドクター中松氏。彼は、医者から死亡宣告を受けているにも関わらず、今でも元気で発明家作動をされています。私たちが思っている印象よりも、随分しっかりした方であること、多くの発明品の説明、特許件数ではエジソンに及んでいないこと、レオナルドダヴィンチの手稿は800枚だが、中松氏の発明手稿は10,000枚にもなること、書籍「発明ノート」は大変参考になるなど、『私たちが取り組んでいる発明は、健康的であるため、堂々と精力的に行うと良い』を裏付ける代表者であるとしてのご説明でした。
その他、外山滋比古(とやましげひこ)氏の「思考の整理学」、食いしん坊発明家の小泉武夫氏の書籍なども参考になるとのことです。いずれも読んでおきたい本です。
これらの情報をまとめられ、各自で発明活動を続けるには「発明ノート」を持つと良いという展開でした。
ノート・メモの事例として、藤井二冠の「将棋ノート」、俳都松山市の「俳句ノート」、NM社長の「考える手帳」などを紹介いただいた後、内田オリジナルの発明ノウハウとして、話をまとめていただきました。『発明手帳から発明ノートへ。さらには発明メタノートへ。』 個人発明家の活動を強く後押しいただける内容で、素晴らしい刺激をいただけました。一日一発明、蛙が柳に飛びつく発明円錐チャートもありました。内田先生、本当にありがとうございました。

第735回 日曜発明学校(2020/9/13)

ご講演は、株式会社ノームラトレーディングの代表取締役、野村 弘様でした。演題は「ダニ対策商品『ダニサル』の開発秘話とダニの生態」です。一宮市繊維産業の激動の時代を渡ってこられた強さがあり、しかし柔らかく品のある口調で、演題内容について、数々のエピソードを交え、すばらしいお話しをいただきました。また、ご説明の商品『ダニサル』も、私ども全員にプレゼントいただくなど、本当にありがとうございました。以下、要点とします。


ガチャマンと呼ばれた、バブル時代をはるかに凌いだ活況の一宮市、芸妓街「花岡」の華やかな時代説明からの始まりです。野村様は、紳士服の生地を扱われていた会社様でした。その時期の挑戦のひとつに、TVコマーシャルがありました。何と、王貞治氏とキャラクターCMの契約をされたとのことです。王氏にとっての初のキャラクター契約であり、超大手のスポンサー企業を寄せ付けず、野村様とのCM写真が、王貞治記念館に掲げられているとのことです。さらに、王氏についての数々のエピソードは大変興味のあるものばかりでした。
また、挑戦されたひとつに、新しい繊維、竹の繊維開発があったとのことです。この企画は、多くの大企業と接触をしつつ進められたとのことです。ある会話の中に、ダニというキーワードが出ました。用途の方向転換です。その方向に対し取り組まれ、ご自分でも運命的であったというタイミングに恵まれ、現在のダニ対策商品に繋がったというお話しでした。詳しい内容は野村様の企業秘密につき、ここでは記載をしませんが、野村様からは、目には見えない何かの力が支えてくれた、との言葉もありました。サムシング・グレイト。
ダニ対策商品に取り組まれる中、様々な商品が既に多く存在し、その中、悟られたことを披露いただきました。機能や効能がいくら優れていても、「売れている商品が一番いい商品である」ということです。基礎研究を重ね、薬事法などへの対応も済ませ、現在の商品に仕上げられました。一宮繊維技術の応用が生んだ商品であり、この独自性を前面に出し、ビジネスを展開されています。「ダニサル」以外にもダニ対策商品として、多くの応用もされています。一宮市では、小学校などのベッドパットにも使われているとのことです。私ども東研に対しても、アイデアがあればお聞かせください、とお話しいただくなど、大変元気をいただくこともできました。
ダニ自体についても勉強させていただきました。湿気がダニ退治の肝、湿度36%以下でダニは死ぬ、とのことでした。覚えておきたい数字です。また、今の清潔な生活が、果たして人間に良いのか。小さい時に、豚舎や牛舎など不潔な環境で過ごさせると、免疫力がつき、アレルギーに強くなるとの研究もあるとのことです。清潔な生活空間と、あえて不潔を織り交ぜた環境が、これからの社会には必要とのことでした。
昭和からの時代を振り返ることができ、また、将来の生活環境への課題まで、広く深いお話しをいただきました。野村様の、益々のご活躍を期待しています。今回は、お忙しい中、本当にありがとうございました。

第734回 日曜発明学校(2020/7/12)

ご講演は、有限会社ノヨリの代表取締役、野依克彦様でした。「かざり」職人の世界につき、演題を「錺金具、継ぐ技・こころ」として、丁寧に教えていただきました。ご多忙の中、本当にありがとうございました。
マスクを外されれば、芸術家のご風貌。職人とは芸術家さんなんだ! と感じいった次第です。
さて、お話しですが、錺(かざり)金具職人の正式名称から教えていただきましたが、あまりにも長く、書き留められませんでした。確か、「経済産業省・・・・・伝統工芸士」であったような・・・。間違いであれば、失礼しました。今回お話しの「尾張仏具」は、経済産業省が指定する伝統工芸品なのです。


以下、ご講演の要点とします。
まず、尾張仏具と、名古屋仏壇・三河仏壇との違いを含め、歴史的な観点からお話しがありました。始まりが名古屋城築城の宮大工・寺大工からとのこと、大須観音から東別院あたりの仏具商が栄えているお話し、尾張仏具は京都と並ぶ一大生産地であったことなどを説明いただきました。
その中、ノヨリ様は1970年に4代続く錺屋さんから独立されたとのことでした。そもそも「錺」とは何かということで、やさしく丁寧に、錺金具の工程について教えていただきました。
全12工程「金取り⇒・・⇒下絵⇒・・⇒しべ打ち⇒魚々子(ななこ)⇒・・」という、それぞれに伝統技術ならではの工程です。細かなツブツブを打ち込むことを「ななこ」と呼ばれていることは、自然に記憶してしまいました。やさしい言葉です。
さらに、以前にテレビ出演された映像をご披露いただきました。(こちらの段取りが悪く)音声なしでしたが、映像内テロップには「ひとつひとつ納得する仕事!」「魂を込めて彫る!!」など、職人気質を強く感じる文字がありました。・・・やはり「魂を込める」と出来栄えが全く違うのだろう、と考えてしまいました。
基本を教えていただいた後、取り組まれている事例を、本当に数多くご説明いただきました。「相手様が喜ばれる絵柄を掘る」を念頭おき、製作されているとのことです。龍・リス・亀・鳳凰、ブドウ・瓢箪・竹などが、大きなものでは名古屋城の本丸御殿の錺、小さなものではタックピン(背広の襟などに取り付ける錺)などに、魂を込めた丁寧さで、誠に繊細に、格調高い色合いに加工されたものを、ご紹介いただきました。会場に、多くの作品を持ち込みいただき、間近に「錺」伝統工芸を拝見できました。
伝統技術をつなぐ職人様がいなくなっては、伊勢神宮の式年遷宮はじめ、幾多の伝統文化を引き継いでゆくことができない。今、職人が減少している中、次の世代が引き継ぎやすい環境づくりに挑戦されているとのことです。日本のため、益々のご活躍をされんことを期待しております。ありがとうございました。

第733回 日曜発明学校(2020/6/14)

ご講演いただくのは、約4ケ月振りとなります。まだまだ新型コロナ自粛といわれている期間ですが、防草研究会の石川重規様にお越しいただきました。「東研のためであれば、できることはします」と、誠にありがたい言葉をいただいています。本当に、ありがとうございます。
防草研究会とは、何を研究されているのか。まさに演題にいただきました「何も使用せず、雑草が、自ら抑制する防草技術」ということです。思うに、すばらしい道路ができても、数年経てば、側帯に多くの強そうな雑草が、太く大きく育ち、何とかならないかと考えます。


その問題に着眼されたのが、お父様である石川繁様です。着眼自体がすばらしいとともに、その解決策をコンクリートブロックに求められ、現在まで20年に渡る活動を行われているとのことです。またすばらしい。なかなか出来ることではありません。この間に、東研ともお付き合いをいただいております。現在は、本日お越しの重規様が、家業としてこの事業を継がれています。このあたりのお話しを十分に入れていただき、防草ブロックの市場展開について、丁寧にお教えいただきました。
内容の濃い資料をご準備いただき、また、ブロックの実寸模型なども持ち込んでいただいてのお話しでした。プロックだけの工夫ではなく、いくつかの防草工法を組み合わせることで、効果が出ることなど、勉強になりました。
具体的なお話しとしては、まず、防草技術の基本知識として、国交省などの関係団体や従来の防草技術などの説明をいただきました。知らないことばかりです。
次に、対象となる雑草(植物)の成長メカニズムなどの基本をご説明いただき、その後に、防草ブロックを利用した際の効果のご説明でした。簡潔にまとめれば、効果としては非の打ちどころのない、すばらしい技術です。普及することで、ほぼすべてが丸く収まるという、いわゆる夢を実現する技術なのです。そのため、多くの表彰を受けられているのも頷けます。
しかし、爆発的に普及をさせるには、いろいろな壁があることもご説明いただきました。雑草対策として、現在、いろいろな業務をされている方々がおられます。その方々の失業につながるため、すぐには普及しないこともよくわかりました。私は、「夢のような技術のため、絶大な効果は出るが、その影響が半端ではない。・・・それほどのすばらしい技術である」と理解しました。
知的財産権へのお取組み、類似品対策、想定外のバクリ事件など、権利防御も大変であることがよくわかりました。また、石川様の収入についてのナマのお話しなど、よくご披露いただけました。現在、複数の工業会を立ち上げられ、さらなる挑戦の日々とのことですが、「気持ちよく、楽しくやってもらうようにする」とのご方針には頭が下がります。社会のため、益々のご発展を大いに期待しております。今回は、お忙しい中、本当にありがとうございました。東研も引き続き、よろしくお願いいたします。

第732回 日曜発明学校(2020/2/9)

午前のご講演は、有限会社山本木工所 代表取締役 山本和彦様による『無から有を作る』でした。多くの製品・サンプルを持ち込みいただき、お話しの最中に回していただくことや、休憩時間を利用し、木材加工製品の感触を直接に触れさせていただきました。美しく、きめ細かな仕上がりに驚きの声も多くありました。しっかりと裏付けられた技術をもとに、新しい製品へ果敢に挑戦されていること、「無から有」がよくわかりました。「不易流行」という言葉を好んでおられる山本様の心構えをしっかりと教えていただきました。本当にありがとうございました。


お話しは丁寧な口調で、わかりやすく、やさしく、おもしろく木工製作活動について説明いただきました。
まず、現在に至る歴史のお話しでした。昭和35年創業。婚礼箪笥を製作されており、紅白の幕で届ける時代のことです。しかし時代は大きく変遷、新たな発想が必要、高付加価値の木工製品に転換されました。
そのキーワードは『Noと言わないモノづくり』とのことです。今があるのは、そのキーワードが広がったこともある、とのことでした。
キッチンなど、特注を希望する方に対し、斬新なアイデアを実物とするご苦労がよくわかりました。
設計図面・デザインイメージ、デザイナーさんからの、いわゆる、わがままな要望に合せておられるのです。
話の中、何度か「受けなければよかった」がありました。しかし、それを『Noと言わないモノづくり』で乗り切り、山本様にも予想していなかったことや、新たな発見が数多くあるとのことも教えていただきました。
具体的なご講演内容は、最初に家具の作り方でした。
材料の木材についての特性のお話しもありました。気温湿度で動く、夏目冬目を意識するなどです。漢字についても、「桐」はもともと草、「橅」は使い方がなかった、など、日頃より意識されていることなど、感心しきりです。キッチン・本棚の特注品製作のお話しもありました。お客様には驚くようなVIP層も多く、その方々の要望に応えるのは厳しいとのお話しもありました。具体的にあったのは、隈研吾氏設計家具への対応、GAFAであるGoogle、Amazon社などの受付カウンター製作など、山本木工所様が製作されていること、驚くしかありません。さらには、石材を使ったキッチンなどにも、現在挑戦中とのことです。
最後には、プロダクトとして、さらに新たに挑戦されている数々の事例を紹介いただきました。丸いテーブルを複数デザインした製品、筒状を3段重ねする製品、変形するイス、ノックダウン式の机など、いずれも、何とも作りにくそうなモノばかりです。しっかり製作され、お披露目の場では、デザイナーと共にギャラリートークもこなされています。
さらに、寄木細工的な挑戦、木材と樹脂との組み合わせなどをお考えとのことでした。
まさに、「不易流行」「無から有」「Noと言わない」を基本に、素晴らしい展開をされていること、よくわかりました。木工技術を未開拓の分野にさらに応用される姿勢だけでなく、常に、相手方への繊細な注意や配慮を欠かさないお人柄により、最高の木工価値を創出されていることがよくわかりました。
山本様、お忙しい中、本当にありがとうございました。益々のご活躍・ご発展を期待しております。

第731回 日曜発明学校(2020/1/12)

今年初のご講演は、有限会社川崎商店の代表取締役社長、川崎紘嗣様(川崎文具店の店主様)による『究極の筆記具「ぬらぬら書ける万年筆の世界」』でした。万年筆についての「ペン沼」「インク沼」「紙沼」計12時間の講演コースもお持ちとのこと、その内容を凝縮し、やさしく説明いただきました。要点をまとめていただいた資料もご準備いただきました。本当にありがとうございました。

お話しの始まりは、「現在、万年筆を使っている人はおられますか?」の問い掛けからでした。3名の方が挙手されましたが、ほとんどの方は、「過去には使ったことがある」ということでした。しかし、川崎様のお話しを聞いた後は、かなりの方が、日常から万年筆を使いたい、と思ったに違いありません。「完成された筆記具」「書けば書くほど成長する筆記具」「使い続けると、その人に合わせ変わってゆく」などと聞けば、にわか万年筆ファンになってしまいます。さらに、万年筆は、「発明の塊り」と聞けば、使う以外の選択肢がありません。(と、私は思った次第です。)
まず、万年筆についての多くの知識をいただきました。なぜ成長する筆記具なのか。技術的・構造的な説明を本当に丁寧にいただき、その後に、今回のタイトルとしていただきました「ぬらぬら」についてお教えいただいたのです。ほとんど使うことのない「ぬらぬら」という表現です。ペン先は、最初は「カリカリ」とのこと、何となくわかります。それを長年使い続けることによって、その方の書き方のクセ、強さ・速度やペン先と紙との接地角度などに合わせるように、徐々にペン先が削れてゆくとのことです、従って愛用の万年筆は他人に貸すものではない、ともお教えいただきました。なるほど、愛用の筆記具とは、こんなイメージで生まれるのか、と思いました。
万年筆には、深い世界、3つの沼があるということで、それぞれの沼について、わかりやすく、また多くのエピソードを入れながらご説明いただきました。技術的・科学的な部分も入れられ、説得力ある、万年筆の奥深さのお話しでした。
インク沼のお話しは、まさに川崎様の専門分野となります。日本には数人しかいない万年筆のインク製作者(クリエーター)なのです。創作された独自のインクを求め、全国から大垣のお店に来られるとのこと、東京の展示会でも独自インクが瞬時に売り切れになるなどの人気「万年筆インク」の創作のお話しでした。独自インクには、川崎様が命名されます。「大柿セピア」「月華紅欄」「幽伽柳紺」「梅花無盡蔵」という名のオリジナルカラーのインクは、会場で万年筆に入れていただくサービスもありました。(私は「幽伽柳紺」。すばらしい色です。)インクを創作する際には、名前と物語が必要ともお教えいただきました。深く味のあるお話しです。
最後にあった、男の三種の神器「万年筆」「時計」「ライター」のお話しが、私の一番記憶したいことでした。タバコを吸わない川崎様ですが、相手方のことを思い、常にライターを持っておられるということです。これが紳士。
万年筆のすばらしさ、毎日使う筆記具である。ということがよくわかりました。お忙しい中、本当にありがとうございました。益々のご発展を期待しております。