第737回 日曜発明学校(2020/11/8)

ご講演は、有限会社大橋量器の代表取締役、大橋博行様でした。演題を「伝統と地場産業の生きる道」として、最初に、全国の〼製造シェア80%の大垣市と名古屋市の堀川沿いとの、ご縁から教えていただきました。明治時代に名古屋で修行をした職人さんにより、大垣での〼作りが始まったとのことです。
大橋量器という会社様のお話しがありました。1950年創業の会社様です。大橋博行社長は、大手IT企業に勤務されていた最中に、家業の大橋量器を継がれ、現在は、〼製造団体を取りまとめたり、地域各種団体の活動を精力的にこなされています。
まず、教えていただいたのは、〼の基本のお話しでした。計量単位として「一合」はよく聞きますが、その前後10倍ずつで変わってゆく単位は「一勺<一合<一升<一斗<一石」を教わりました。また、〼の材料であるヒノキについても、日本の森林率の話や沖縄首里城の建材の話などを織り交ぜ、香りや抗菌効果などのある木材であることを説明いただきました。

 
続いて、家業を継がれた後、現在までのご苦労話がありました。私どもが、一番伺いたいところです。お父様との考えの違いは、場合により振り切り、新しい事への数々の挑戦をされてこられたお話しでした。「販路の開拓」「量から品質への転換」「強みを生かすこと」「NO!と言わない営業」など、それぞれ、いくつもの失敗や反省を重ねられたとのことです。〼にこだわる、〼という製品を、しっかりとじっくりと見つめ、時に、お父様との取っ組み合いもあったことなど、生々しいお話しをご披露いただきました。
その経緯を、第一の危機「自分の力不足」、第二の危機「需要の減退」に整理されていること、経営者様でしかわからない世界と感じました。
現在のビジネスになる「ターニング・ポイント」もお話しいただけました。B2Cを狙った実店舗の時です。奥の細道、結びの地に、「桝工房ますや」を開設された時が、その時期とされていました。大手メディアとのお付き合いも、その時点からスタートしたとのことです。その時に女神が降りてきたのかな、などと思い、話を伺っていました。現在では、Webshop「桝工房桝屋」も開設されているとのことです。
店舗での活動と合わせ、経産省「地域資源活用プログラム」や、長期インターンシップの活用などにも積極参加され、学生など若手の意見を尊重され、新ビジネス展開をされてこられました。デザイナーの方々とのコラボ、海外への積極展開など、その精力的なご活動は、なかなかできるものではありません。多くの意見を聞き取り、それをモノとして実現させ、販路を開拓してゆくことなど、いずれも難しいこと、それを行われています。
現在も、新需要を作ることを念頭に、多くの特に若い力とともに〼の可能性を追求しておられるとのこと、よくわかりました。
〼文化の普及促進および大橋量器様ビジネスの益々のご発展をご活躍を大いに期待しております。本日は、丁寧でやさしいご説明、ありがとうございました。

第736回 日曜発明学校(2020/10/11)

ご講演は、東研顧問弁理士の内田昌宏様でした。講演は今回が8回目です。「発明ノートと発明ノウハウ」として、個人発明家として、その根幹に持つべきものを教えていただきました。今回も、期待通りの「刺激的」な内容でした。
『私たちが取り組んでいる発明は、健康的であるため、堂々と精力的に行うと良い』。これを、整理された内容として、わかりやすく説明いただいたのです。東研での8回に渡る講演内容の変遷、ご自身の発明実践から導き出された統計的判断、参考となる書籍披露と内容紹介などを巧みに合わせた筋書きで、内田オリジナルの「発明ノートを基にした発明ノウハウ」をご披露いただきました。以下、記憶に残った項目です。
 
東研講演の変遷では、「一攫千金」から「発明で脳トレ」にテーマが変わってきていること、これを、ご自身の発明実践を入れて説明いただきました。先生は、一千件を超える発明アイデアをノートに記録され、その発明品質を分析されたそうです。その結論の一つに、「今の時代、一攫千金はありえない」が導き出されたということでした。では、何を目指して発明活動をすればよいのでしょうか。その答えは、脳トレです。「発明は健康に良い」、脳トレ、前頭葉のトレーニングには、発明が最も良い事を教えていただきました。発想して作ってみること、「着想」と「具現化」が発明行動には必要であり、それが前頭葉の老化を防ぐ。前頭葉が老化すると、他の脳部分の老化がなびく。前頭葉を老化させない「発明行動」は、老化防止効果が抜群であるとのことです。 ※会員の皆様、思いついたアイデアを、具体的なモノとして作ってみるまでが大切です。大いに試作品製作まで頑張りましょう、老化しません。
これらのお話しの中に、数多くの著名人紹介も含めてもらっています。一番にドクター中松氏。彼は、医者から死亡宣告を受けているにも関わらず、今でも元気で発明家作動をされています。私たちが思っている印象よりも、随分しっかりした方であること、多くの発明品の説明、特許件数ではエジソンに及んでいないこと、レオナルドダヴィンチの手稿は800枚だが、中松氏の発明手稿は10,000枚にもなること、書籍「発明ノート」は大変参考になるなど、『私たちが取り組んでいる発明は、健康的であるため、堂々と精力的に行うと良い』を裏付ける代表者であるとしてのご説明でした。
その他、外山滋比古(とやましげひこ)氏の「思考の整理学」、食いしん坊発明家の小泉武夫氏の書籍なども参考になるとのことです。いずれも読んでおきたい本です。
これらの情報をまとめられ、各自で発明活動を続けるには「発明ノート」を持つと良いという展開でした。
ノート・メモの事例として、藤井二冠の「将棋ノート」、俳都松山市の「俳句ノート」、NM社長の「考える手帳」などを紹介いただいた後、内田オリジナルの発明ノウハウとして、話をまとめていただきました。『発明手帳から発明ノートへ。さらには発明メタノートへ。』 個人発明家の活動を強く後押しいただける内容で、素晴らしい刺激をいただけました。一日一発明、蛙が柳に飛びつく発明円錐チャートもありました。内田先生、本当にありがとうございました。

第735回 日曜発明学校(2020/9/13)

ご講演は、株式会社ノームラトレーディングの代表取締役、野村 弘様でした。演題は「ダニ対策商品『ダニサル』の開発秘話とダニの生態」です。一宮市繊維産業の激動の時代を渡ってこられた強さがあり、しかし柔らかく品のある口調で、演題内容について、数々のエピソードを交え、すばらしいお話しをいただきました。また、ご説明の商品『ダニサル』も、私ども全員にプレゼントいただくなど、本当にありがとうございました。以下、要点とします。


ガチャマンと呼ばれた、バブル時代をはるかに凌いだ活況の一宮市、芸妓街「花岡」の華やかな時代説明からの始まりです。野村様は、紳士服の生地を扱われていた会社様でした。その時期の挑戦のひとつに、TVコマーシャルがありました。何と、王貞治氏とキャラクターCMの契約をされたとのことです。王氏にとっての初のキャラクター契約であり、超大手のスポンサー企業を寄せ付けず、野村様とのCM写真が、王貞治記念館に掲げられているとのことです。さらに、王氏についての数々のエピソードは大変興味のあるものばかりでした。
また、挑戦されたひとつに、新しい繊維、竹の繊維開発があったとのことです。この企画は、多くの大企業と接触をしつつ進められたとのことです。ある会話の中に、ダニというキーワードが出ました。用途の方向転換です。その方向に対し取り組まれ、ご自分でも運命的であったというタイミングに恵まれ、現在のダニ対策商品に繋がったというお話しでした。詳しい内容は野村様の企業秘密につき、ここでは記載をしませんが、野村様からは、目には見えない何かの力が支えてくれた、との言葉もありました。サムシング・グレイト。
ダニ対策商品に取り組まれる中、様々な商品が既に多く存在し、その中、悟られたことを披露いただきました。機能や効能がいくら優れていても、「売れている商品が一番いい商品である」ということです。基礎研究を重ね、薬事法などへの対応も済ませ、現在の商品に仕上げられました。一宮繊維技術の応用が生んだ商品であり、この独自性を前面に出し、ビジネスを展開されています。「ダニサル」以外にもダニ対策商品として、多くの応用もされています。一宮市では、小学校などのベッドパットにも使われているとのことです。私ども東研に対しても、アイデアがあればお聞かせください、とお話しいただくなど、大変元気をいただくこともできました。
ダニ自体についても勉強させていただきました。湿気がダニ退治の肝、湿度36%以下でダニは死ぬ、とのことでした。覚えておきたい数字です。また、今の清潔な生活が、果たして人間に良いのか。小さい時に、豚舎や牛舎など不潔な環境で過ごさせると、免疫力がつき、アレルギーに強くなるとの研究もあるとのことです。清潔な生活空間と、あえて不潔を織り交ぜた環境が、これからの社会には必要とのことでした。
昭和からの時代を振り返ることができ、また、将来の生活環境への課題まで、広く深いお話しをいただきました。野村様の、益々のご活躍を期待しています。今回は、お忙しい中、本当にありがとうございました。

第734回 日曜発明学校(2020/7/12)

ご講演は、有限会社ノヨリの代表取締役、野依克彦様でした。「かざり」職人の世界につき、演題を「錺金具、継ぐ技・こころ」として、丁寧に教えていただきました。ご多忙の中、本当にありがとうございました。
マスクを外されれば、芸術家のご風貌。職人とは芸術家さんなんだ! と感じいった次第です。
さて、お話しですが、錺(かざり)金具職人の正式名称から教えていただきましたが、あまりにも長く、書き留められませんでした。確か、「経済産業省・・・・・伝統工芸士」であったような・・・。間違いであれば、失礼しました。今回お話しの「尾張仏具」は、経済産業省が指定する伝統工芸品なのです。


以下、ご講演の要点とします。
まず、尾張仏具と、名古屋仏壇・三河仏壇との違いを含め、歴史的な観点からお話しがありました。始まりが名古屋城築城の宮大工・寺大工からとのこと、大須観音から東別院あたりの仏具商が栄えているお話し、尾張仏具は京都と並ぶ一大生産地であったことなどを説明いただきました。
その中、ノヨリ様は1970年に4代続く錺屋さんから独立されたとのことでした。そもそも「錺」とは何かということで、やさしく丁寧に、錺金具の工程について教えていただきました。
全12工程「金取り⇒・・⇒下絵⇒・・⇒しべ打ち⇒魚々子(ななこ)⇒・・」という、それぞれに伝統技術ならではの工程です。細かなツブツブを打ち込むことを「ななこ」と呼ばれていることは、自然に記憶してしまいました。やさしい言葉です。
さらに、以前にテレビ出演された映像をご披露いただきました。(こちらの段取りが悪く)音声なしでしたが、映像内テロップには「ひとつひとつ納得する仕事!」「魂を込めて彫る!!」など、職人気質を強く感じる文字がありました。・・・やはり「魂を込める」と出来栄えが全く違うのだろう、と考えてしまいました。
基本を教えていただいた後、取り組まれている事例を、本当に数多くご説明いただきました。「相手様が喜ばれる絵柄を掘る」を念頭おき、製作されているとのことです。龍・リス・亀・鳳凰、ブドウ・瓢箪・竹などが、大きなものでは名古屋城の本丸御殿の錺、小さなものではタックピン(背広の襟などに取り付ける錺)などに、魂を込めた丁寧さで、誠に繊細に、格調高い色合いに加工されたものを、ご紹介いただきました。会場に、多くの作品を持ち込みいただき、間近に「錺」伝統工芸を拝見できました。
伝統技術をつなぐ職人様がいなくなっては、伊勢神宮の式年遷宮はじめ、幾多の伝統文化を引き継いでゆくことができない。今、職人が減少している中、次の世代が引き継ぎやすい環境づくりに挑戦されているとのことです。日本のため、益々のご活躍をされんことを期待しております。ありがとうございました。

第733回 日曜発明学校(2020/6/14)

ご講演いただくのは、約4ケ月振りとなります。まだまだ新型コロナ自粛といわれている期間ですが、防草研究会の石川重規様にお越しいただきました。「東研のためであれば、できることはします」と、誠にありがたい言葉をいただいています。本当に、ありがとうございます。
防草研究会とは、何を研究されているのか。まさに演題にいただきました「何も使用せず、雑草が、自ら抑制する防草技術」ということです。思うに、すばらしい道路ができても、数年経てば、側帯に多くの強そうな雑草が、太く大きく育ち、何とかならないかと考えます。


その問題に着眼されたのが、お父様である石川繁様です。着眼自体がすばらしいとともに、その解決策をコンクリートブロックに求められ、現在まで20年に渡る活動を行われているとのことです。またすばらしい。なかなか出来ることではありません。この間に、東研ともお付き合いをいただいております。現在は、本日お越しの重規様が、家業としてこの事業を継がれています。このあたりのお話しを十分に入れていただき、防草ブロックの市場展開について、丁寧にお教えいただきました。
内容の濃い資料をご準備いただき、また、ブロックの実寸模型なども持ち込んでいただいてのお話しでした。プロックだけの工夫ではなく、いくつかの防草工法を組み合わせることで、効果が出ることなど、勉強になりました。
具体的なお話しとしては、まず、防草技術の基本知識として、国交省などの関係団体や従来の防草技術などの説明をいただきました。知らないことばかりです。
次に、対象となる雑草(植物)の成長メカニズムなどの基本をご説明いただき、その後に、防草ブロックを利用した際の効果のご説明でした。簡潔にまとめれば、効果としては非の打ちどころのない、すばらしい技術です。普及することで、ほぼすべてが丸く収まるという、いわゆる夢を実現する技術なのです。そのため、多くの表彰を受けられているのも頷けます。
しかし、爆発的に普及をさせるには、いろいろな壁があることもご説明いただきました。雑草対策として、現在、いろいろな業務をされている方々がおられます。その方々の失業につながるため、すぐには普及しないこともよくわかりました。私は、「夢のような技術のため、絶大な効果は出るが、その影響が半端ではない。・・・それほどのすばらしい技術である」と理解しました。
知的財産権へのお取組み、類似品対策、想定外のバクリ事件など、権利防御も大変であることがよくわかりました。また、石川様の収入についてのナマのお話しなど、よくご披露いただけました。現在、複数の工業会を立ち上げられ、さらなる挑戦の日々とのことですが、「気持ちよく、楽しくやってもらうようにする」とのご方針には頭が下がります。社会のため、益々のご発展を大いに期待しております。今回は、お忙しい中、本当にありがとうございました。東研も引き続き、よろしくお願いいたします。

第726回 日曜発明学校(2019/8/11)

午前の講演は、東研会員、KGコーポレーションの北川四郎様でした。テーマを「アマゾンへの出品経験をお話しします」として、ご経験談をお話しいただきました。
まず、北川様からのメッセージをお伝えしないといけません。それは、
『パソコンのパの字も知らない世代ではあるが、息子に教えてもらいつつ何とか操作を覚え、アマゾンにもメールや電話(長い時は3時間も)でサポートしてもらい、現在、実際に商品販売をしている。東研の皆様も、試作品でもいいので、アマゾンに登録すれば、やる気・元気につながりますよ』というものでした。『東研でもネット販売のお話しがありますが、自分の経験談も参考にしてもらいたい』とのことで、北川様からお話しを伺うことができました。


お話しの要点を以下とします。
まず、販売をされている対象商品についてのお話しです。会社時代に扱われていたミスト関連の商品、それらの機能をよく承知していたのがベース。そこで、ネットを通じ、特にミスト商品の用途説明までを丁寧にした販売を目指そう、ということで思い立ったとのことです。 ネットセミナーで勉強などを経て、アマゾンを知るに至り、2013年7月にアマゾンへの商品初登録となります。
私たちの参考となるアマゾンへの出品手続きについて、いくつかに分けて説明いただきました。
【事前準備】ブランド名・品番・品名・パッケージ・写真準備、工業所有権、口座・クレジットカードの準備など。登録までにも、いくつものハードルがあったことがわかります。取引認可に、北川様の場合、2ケ月もかかったとのことです。
【登録手続き】大口出品・小口出品の違い、出品にかかる手数料、アマゾンのFBA(商品を保管してもらい出荷してもらうサービス)の利用有無などを確定します。
【販売契約】注文に対する不良率(1%未満でないと取引停止も)、商品自体の信頼性基準、商品のコンディション、商品の安全性、契約違反となる商品。これらを遵守する必要もあります。
【受注後の作業】出荷遅延率、プライム当日発送、出荷前後でのキャンセル手続き、運送会社指定、納品書作成など、規準の即した作業も大変だとのことです。
これらいくつものハードルを越え、現在では、約100商品の登録をされています。商品自体の数は多くなく、さまざまな部品と組合せたものをひとつの商品とされています。即ち、用途別の商品として、丁寧な説明文をつけた商品展開をされているのです。説明文の中には、東研での受賞実績も挙げてもらっています。
現在の北川様は、日々の販売状況を楽しんでおられる様です。アマゾンの出品者へのサービス、例えばセラーフォーラムなどに書きこまれている情報を活用し、トラブル対策・事前予防などをされているというお話しもありました。
ネット販売という未知の世界に果敢に挑戦をされ、元気に活動をしておられるご経験談、大変参考になりました。益々のご発展を期待しております。本当にありがとうございました。

第725回 日曜発明学校(2019/7/14)

午前の講演は、株式会社トッププロダクツ代表取締役の遠山義勝様でした。テーマを「関の刃物、アイデアを商品化するポイント」として、関の刃物文化と、アイデア品の提案のコツ、さらには具体的なコスト構造などを教えていただきました。
お話しに際し、9種類もの商品を会場内に回していただき、手に取りながら話を伺うことができました。「この話は、これか!」「さっきの話は、ここだ!」などと、良く分るお話しとしていただいたのです。


まず、「折れず曲がらずよく切れる」といわれる、関の刃物の歴史のお話がありました。室町から戦国時代に全盛期があり、「関の孫六」商標の変遷、明治の廃刀令が大きく産業衰勢に影響したことの説明がありました。知っていそうで知らない話であり、また、刃物のことわざが多い事、「刃折れ矢尽きる」「両刃の剣」「ヤキを入れる」「元の鞘に収まる」「鍔迫り合い」など、日本文化に直結した刃物文化を、再度見返すことができました。
刃物の産地、燕三条、堺、兵庫小野などとの比較もありました。同じ刃物と言えども、それぞれに、得手不得手があり、また販売ルートが異なるため、得意分野以外は中々手が出しづらい環境になっていることです。アイデア品の提案についても、その観点をもって行動をする必要があるとのアドバイスもありました。関は包丁・カッター系。
その後、回覧の9商品についての説明です。「今、どこに回っていますか?」と、それぞれの商品に注目が集まった後、商品別の説明となります。商品開発時の特別話、マスコミ出演実績、東急ハンズなどでの販売実績、ヒット商品・ロングセラー商品となっている理由など、それぞれに刺激ある、興味のつきないお話しでした。多くのエピソードを入れていただきました。
その中には、知的財産権の要素も入れてもらっています。提案者が権利化をどの程度行っていた商品であるかなど、意匠や特許権についての対策なども、しっかりと説明いただきました。23年間で、ご自身で作られたものは1つ、と謙遜されてもいました。また、デザイナーによる洗練化されたデザイン・モニタリングの活用についても、実績に裏付けられたお話しでした。
私が最も参考にさせていただいたのが、商品の流通過程の、取引金額の変遷です。例えば、1000円で小売される商品について、メーカー側はいくらで製作しないと商売にならないのか。答えを聞いて、誠に理不尽と感じてしまいました。東研で勉強していることは、その製作にかかる費用に一部、アイデア段階だけです。しかし、この段階が、より価値ある活動を、認めてもらいたいものです。流通過程のそれぞれに、コストが掛るのはよく分りますが、製造者にはもっと多くの利益配分が必要と、私は感じてしまいました。
その他、グローバル化時代の考え方、アイデアをメーカーへ提案する際のポイントなど、話の全体を、長年の実績に裏打ちされた、本当に為になるお話しをいただきました。
遠山様、本当にありがとうございました。この後、東研メンバーからの提案があった際には、よろしくお願いします。トッププロダクツ様の益々のご発展を期待しております。

第724回 日曜発明学校(2019/6/9)

6月講演は、創意国際特許事務所一日一発明弁理士、東研顧問の内田昌宏様でした。今回は、2年振りの登壇です。テーマを「一日一発明で令和時代を生き抜く」として、私たちに発明とともに楽しく生活するポイントを教えていただきました。

まず、特許などの権利は何のためにあるのか、というお話し。『権利は、「業:なりわい」として実施する権利であるため、事業化していかないと意味がない。事業化するには、まず個人事業主として始めるのが良い。その上で、一日一発明などしてゆけば、いずれ成功につながる。社会的には、副業・起業が脚光を浴びる時代であり、それには、一日一発明は効果的です。』ということが記憶に残っています。
続いて記憶に残っていることは、成功する確率のお話しです。『確率の事例として、東京マラソン参加の抽選は、一部事情を除いて、ほほ運であること。宝くじの当選は、運の世界。弁理士の合格は、運だけではない確率。同じ確率でも意味が違う。その上で、発明アイデアがヒットする確率は、身近な資料から計算(多分、内田先生独自の計算と思われる)すれば、「1793分の1」となっている。千に3つといわれている数字よりは確率として小さいが、千・二千と発明品を考えれば、その中にヒットするアイデアが出る。』というお話しでした。
また、一日一発明の意義についての内容も覚えています。『まず、脳が活性化されます。生活も活き活きとし、健康で豊かな生活が実感できます。個人として、商品化を通し、社会に貢献できるという、すばらしい目標も出来るのです。』というものです。内田先生ご自身の発明を書き記されている、発明手帳・発明ノートを、披露いただきました。趣味の登山・ランニング関係の発明や、モノではない、しくみ的のアイデアなども発明であること、さらには、ご自身の数多くの発明を分類・分析されていることなど、勉強になりました。

市民発明家として、儲からなくとも、楽しく、生き生きとして、時間に余裕を持って生活する発明人生のすばらしさについて、以前のご講演内容にも増して、さらに強く認識できました。内田先生、本当にありがとうございました。

第723回 日曜発明学校(2019/5/12)

東研60周年記念の特別講演には、中日新聞論説委員の飯尾様にお越しいただきました。テーマを「持続可能性の時代に」として、今の時代と、発明活動の関係につき、お話しをいただきました。東研60周年に合わせ、60年続いているクラウンズ(ゴルフ)を例に挙げられ、こんなに続ける事は、大変めずらしいことであると、お褒めいただくところから始まりました。
お忙しい中、本当にありがとうございました。以下、ご講演の要約となります。

1960~70年代の高度成長時代には、荒地開発用の科学肥料としてチッソが必要であることを第一とし、大きな公害問題が発生してしまったのです。四日市公害もしかり。この頃の学会では、例えば公害物質であっても、広大で無尽蔵の海の水、これが薄めてくれる、などという、誠に環境意識が欠けていた時代でもあります。
しかし、その後の研究や、阪神大震災時の耕作地の荒廃実例などにより、環境は人が創るもの、人は環境維持を続けるもの、という認識が芽生えてきたのです。

海はでっかい水たまり、しかし既に「1.1℃」も上昇しています。このヒートアイランド現象始め、数多く現われている環境問題や困難な課題に対し、先進国が活動を始めました。
2001年には、MDGsという目標を作りました。産業の強靭化においても、不平等をなくす活動も、暮らしのインフラを整備する場合も、プラスチックの削減行動も。ミレニアム千年紀を意識した活動が必要であるということです。近年、MDGsを受け継ぎ、新たな17の開発目標を宣言し、人類として対応することになりました。これが、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決めらました。
しかし、現在、この目標は達成されていません。間もなく開催される大阪G20でも、この内容も話し合われます。脱炭素社会、CO2排出ゼロの技術革新などが、特に注目される業界になってきます。安城市にメトロ工業という会社があります。あのエジソンがつくった会社GE、そのGEが注目している企業であり、カーボンフィラメントを製作しています。大きな環境貢献が期待される技術です。

高度な技術だけでなく、私たちにもできる環境活動があります。私たちは、暮らしの中での工夫をしています。もったいない意識、昔ながらの生活の知恵、これらを大切に生活しています。これらには、SDGs持続可能性のヒントが多く含まれているのです。それらを、さらに工夫するという発明活動、ここが大きく期待されるところなのです。例えば、ペットボトルは、自然に分解するのに400年もかかるのです。何とか、しましょう。
世界中が持続可能性の時代です。これを強く意識し、発明活動されることを期待します。

第722回 日曜発明学校(2019/4/14)

午前は、模型飛行機製作家 竹内史郎様による『私を40年余り遊ばせてくれたピーナッツスケール』のご講演でした。専属パイロットでもある奥様とともにお越しいただきました。寸法を入れないという、独自の飛行機設計図も準備いただき、また、十機以上の模型飛行機を持参されての、お話しでした。
ピーナッツスケールという模型飛行機は、翼巾330mmのものを差し、それより小さい翼巾200mmのものを「ピスタチオスケール」、大きい翼巾450mmのものを「ウォルナッツスケール」と呼ぶそうです。ナッツの種類で表現した、世界標準の呼び方だそうです。


そのピーナッツに40年間、虜になっているというお話しですが、その前段がありました。小学校時代からグライダーの操縦やプラモデル作成の好きな子供であり、夏休みには「紫電」も作った。中学時代、雑誌「模型とラジオ」に影響を受け、バルサ材(バルサという、エクアドル産の木から作られた材料。軽くやわらかいため、加工がしやすく、模型工作に広く使われている)と出会い、セスナなどを製作していた。歌・ギターにも嵌り込んだ時でも、紙飛行機60機、グライダー模型作りをしていた、とのことでした。私の知り合いにも、学生時代に模型に集中していた人も居ましたが、大抵は、このあたりで離れてゆきます。しかし、竹内様はさらに深く続きます。
雑誌「Uコン技術」に掲載の設計図を見て、「こんなもん、飛ぶはずがない」と思い、普通はそこで終わるところ、設計図に合わせ作ってしまった。そして、それが予想外に飛んだ。40年以上に渡るピーナッツスケールとの付き合いの始まりとのことでした。ピーナッツの取り組まれた後、奥様からの一言が、大きな分岐点であったことも披露いただきました。「ピーナッツスケール、ひとりじゃ広がらないよ!」と。広告を出し、仲間を集め、現在の「庄内ピーナッツ」に至ったとのことです。
TV「おとなの秘密基地」に出演された映像を見せていただきました。その中には、竹内様の秘密基地、ピーナッツが溢れる格納庫が映されていました。集中できる趣味があり、それを自由にできる環境は、まさに理想的です。庄内ピーナッツの皆さまと、実際に飛ばすシーンもありました。誠に気分の良い時間であろうと、つくづく感じました。
お話しの後は、飛行実演です。「作る楽しみだけでなく、飛ばす楽しみがある。ひと粒で二度・三度おいしいのがピーナッツ」と表現されていました。重くなると飛びにくいが、スケールは形が命のため、なかなか軽くできない。動力のゴム幅を調整したり、巻き数を調整することで、うまく飛ばすのがコツとのことです。専用にゴム巻き機で、その時は549回などと正確さの説明がありました。また、調子の悪い部分の修復実演が良かった。軽いお話しをされながら、模型の修復・調整があり、見事に会場内で飛びました。なかなかの年季の入った技術です。世界大会などでは、このリペア技術が差になるとのことでした。
材料費が掛らない世界とのことですが、その設計図を自らが製作、一機を製作するのに1ケ月という世界は、中々できるものではありません。ゴム動力をさらに追及、空飛ぶ自動車にも挑戦中とのことです。益々、有意義なピーナッツ人生を送られ、その世界を拡げられんことを、大いに期待しております。竹内様、奥様、本当にありがとうございました。