第732回 日曜発明学校(2020/2/9)

午前のご講演は、有限会社山本木工所 代表取締役 山本和彦様による『無から有を作る』でした。多くの製品・サンプルを持ち込みいただき、お話しの最中に回していただくことや、休憩時間を利用し、木材加工製品の感触を直接に触れさせていただきました。美しく、きめ細かな仕上がりに驚きの声も多くありました。しっかりと裏付けられた技術をもとに、新しい製品へ果敢に挑戦されていること、「無から有」がよくわかりました。「不易流行」という言葉を好んでおられる山本様の心構えをしっかりと教えていただきました。本当にありがとうございました。


お話しは丁寧な口調で、わかりやすく、やさしく、おもしろく木工製作活動について説明いただきました。
まず、現在に至る歴史のお話しでした。昭和35年創業。婚礼箪笥を製作されており、紅白の幕で届ける時代のことです。しかし時代は大きく変遷、新たな発想が必要、高付加価値の木工製品に転換されました。
そのキーワードは『Noと言わないモノづくり』とのことです。今があるのは、そのキーワードが広がったこともある、とのことでした。
キッチンなど、特注を希望する方に対し、斬新なアイデアを実物とするご苦労がよくわかりました。
設計図面・デザインイメージ、デザイナーさんからの、いわゆる、わがままな要望に合せておられるのです。
話の中、何度か「受けなければよかった」がありました。しかし、それを『Noと言わないモノづくり』で乗り切り、山本様にも予想していなかったことや、新たな発見が数多くあるとのことも教えていただきました。
具体的なご講演内容は、最初に家具の作り方でした。
材料の木材についての特性のお話しもありました。気温湿度で動く、夏目冬目を意識するなどです。漢字についても、「桐」はもともと草、「橅」は使い方がなかった、など、日頃より意識されていることなど、感心しきりです。キッチン・本棚の特注品製作のお話しもありました。お客様には驚くようなVIP層も多く、その方々の要望に応えるのは厳しいとのお話しもありました。具体的にあったのは、隈研吾氏設計家具への対応、GAFAであるGoogle、Amazon社などの受付カウンター製作など、山本木工所様が製作されていること、驚くしかありません。さらには、石材を使ったキッチンなどにも、現在挑戦中とのことです。
最後には、プロダクトとして、さらに新たに挑戦されている数々の事例を紹介いただきました。丸いテーブルを複数デザインした製品、筒状を3段重ねする製品、変形するイス、ノックダウン式の机など、いずれも、何とも作りにくそうなモノばかりです。しっかり製作され、お披露目の場では、デザイナーと共にギャラリートークもこなされています。
さらに、寄木細工的な挑戦、木材と樹脂との組み合わせなどをお考えとのことでした。
まさに、「不易流行」「無から有」「Noと言わない」を基本に、素晴らしい展開をされていること、よくわかりました。木工技術を未開拓の分野にさらに応用される姿勢だけでなく、常に、相手方への繊細な注意や配慮を欠かさないお人柄により、最高の木工価値を創出されていることがよくわかりました。
山本様、お忙しい中、本当にありがとうございました。益々のご活躍・ご発展を期待しております。

第731回 日曜発明学校(2020/1/12)

今年初のご講演は、有限会社川崎商店の代表取締役社長、川崎紘嗣様(川崎文具店の店主様)による『究極の筆記具「ぬらぬら書ける万年筆の世界」』でした。万年筆についての「ペン沼」「インク沼」「紙沼」計12時間の講演コースもお持ちとのこと、その内容を凝縮し、やさしく説明いただきました。要点をまとめていただいた資料もご準備いただきました。本当にありがとうございました。

お話しの始まりは、「現在、万年筆を使っている人はおられますか?」の問い掛けからでした。3名の方が挙手されましたが、ほとんどの方は、「過去には使ったことがある」ということでした。しかし、川崎様のお話しを聞いた後は、かなりの方が、日常から万年筆を使いたい、と思ったに違いありません。「完成された筆記具」「書けば書くほど成長する筆記具」「使い続けると、その人に合わせ変わってゆく」などと聞けば、にわか万年筆ファンになってしまいます。さらに、万年筆は、「発明の塊り」と聞けば、使う以外の選択肢がありません。(と、私は思った次第です。)
まず、万年筆についての多くの知識をいただきました。なぜ成長する筆記具なのか。技術的・構造的な説明を本当に丁寧にいただき、その後に、今回のタイトルとしていただきました「ぬらぬら」についてお教えいただいたのです。ほとんど使うことのない「ぬらぬら」という表現です。ペン先は、最初は「カリカリ」とのこと、何となくわかります。それを長年使い続けることによって、その方の書き方のクセ、強さ・速度やペン先と紙との接地角度などに合わせるように、徐々にペン先が削れてゆくとのことです、従って愛用の万年筆は他人に貸すものではない、ともお教えいただきました。なるほど、愛用の筆記具とは、こんなイメージで生まれるのか、と思いました。
万年筆には、深い世界、3つの沼があるということで、それぞれの沼について、わかりやすく、また多くのエピソードを入れながらご説明いただきました。技術的・科学的な部分も入れられ、説得力ある、万年筆の奥深さのお話しでした。
インク沼のお話しは、まさに川崎様の専門分野となります。日本には数人しかいない万年筆のインク製作者(クリエーター)なのです。創作された独自のインクを求め、全国から大垣のお店に来られるとのこと、東京の展示会でも独自インクが瞬時に売り切れになるなどの人気「万年筆インク」の創作のお話しでした。独自インクには、川崎様が命名されます。「大柿セピア」「月華紅欄」「幽伽柳紺」「梅花無盡蔵」という名のオリジナルカラーのインクは、会場で万年筆に入れていただくサービスもありました。(私は「幽伽柳紺」。すばらしい色です。)インクを創作する際には、名前と物語が必要ともお教えいただきました。深く味のあるお話しです。
最後にあった、男の三種の神器「万年筆」「時計」「ライター」のお話しが、私の一番記憶したいことでした。タバコを吸わない川崎様ですが、相手方のことを思い、常にライターを持っておられるということです。これが紳士。
万年筆のすばらしさ、毎日使う筆記具である。ということがよくわかりました。お忙しい中、本当にありがとうございました。益々のご発展を期待しております。

第730回 日曜発明学校(2019/12/8)

午前は、株式会社インフォムの代表取締役、伊藤隆好様より、「私の発明人生」として、ご講演をいただきました。鈴木絹子様にもお越しいただきまして、本当にありがとうございました。

お話しは、発明との関わりからでした。焼野原の一宮、中学での発明クラブ。そこに赴任された発明好きの先生からの言葉が効いたとのことです。「日本は戦争に負けた。何を目指せばいいか。資源がない。ものづくり、発明だ!」お仕事も、松下電工から特許事務所、豊和工業、金型会社でのご経験を経て、設計事務所(インフォム様前身)設立に至った理由も、振り返ると発明が影響していたとのことです。これらの期間の発明品「リニアロック」により、インフォム様の土台も形成できているとのこと、まさに発明の中を歩いてこられたことが、よくわかりました。そのようにしたくとも、殆どの人は、発明の世界で生きてゆくことが大変困難であることを考えれば、伊藤様の発想センスと実現技術、ご努力の兼ね合わせによって、成功を導かれたことがよくわかりました。

現在取り組まれている発明品が、「AIR’S風の靴」という、何と、歩くたびに靴の中に風が通るという、画期的な靴です。あればいいなと思う人はいたかもしれませんが、それを、メカニズム(機械)的に実証・製作され、実際にその機能を装備した靴を販売されているとのこと、その技術の高さ、情熱の強さを教えていただきました。ご自身の水虫経験をもとに、基本構造を着想され、いくつもの試作を繰り返し、適するリード弁に到達されとのこと。技術的な内容も、やさしくご説明いただきました。

靴という全く新規の世界に果敢に挑戦されたお話しです。浅草・姫路・神戸など、靴の本場でご苦労をされたお話しは、特許・技術的なお話しとともに、大いに刺激・元気をいただけました。また、販売をされている中のエピソード、最初はクレーマーかと思ったが、現在は、その人の為に機能強化し、靴の進化を目指されているとのことでした。作っても中々売れない時代を承知の上で、新しい世界の実現を目指されていること、よくわかりました。

「来年はさらなる勝負の年である」とのこと、益々の普及発展を心より期待しております。

第729回 日曜発明学校(2019/11/10)

午前は、科学オモチャ蒐集家・科学オモチャ研究会主宰の市原千明様から、『科学オモチャ研究会は楽しさが一番』として、ご講演をいただきました。
オモチャの源さん(「源」の字は、独自に図案化)のコスチュームで登場です。市原様は別名「平沢 源」をお持ちとのことです。尊敬する人2名がすばらしい。おひとり目は、平賀源内先生ときました。おぉ、エレキテル。もうお一方は、モノマネ入りでご説明、小沢昭一師なのです。それぞれから文字を拝借し、別名・芸名?とされています。このあたりから、科学オモチャのプロ・頂点を目指されていることが、よくわかりました。
さて、お話しです。まず、私たちが聞くに当たっての心構えを説明いただきました。私の話は、役に立つ・立たない/楽しい・楽しくない、さて、どの組み合わせでしょうか。答えは「役に立たない/楽しいです。」と説明をされました。しかし、私にとっての結果は、本当に役に立った/ばかばかしさも入り誠に楽しかった、という時間でした。ありがとうございました。


スクリーンを利用し、「源さん」のオモチャコレクションなどを説明いただきました.棚にギッシリ、ジャンル別に整理された、オモチャ尽くしの部屋です。その中から、(私のメモでは、)以下の11点をお持ちいただき、それぞれについて、興味深いエピソードや遊び方のご説明があり、また実際に触れ遊ばせていただいたのです。いや、これがコレクションのほんの一部であることに、全く驚く以外にありません。
「科学オモチャ研究会」は、すでに37回を超え、毎回テーマを決めて開催されていること、以下についても、その研究会での対象となったオモチャとのことです。
(1) おばけけむり 少しネバネバ、指から煙。「オモチャは、遊んで初めて価値がわかる。」これが、科学オモチャの市原先生の哲学です。
(2) 四日市の大入道 郷土玩具の復元です。
(3) 相性うらない棒 江戸時代からあった物。
(4) どこでもATM 1円玉、「いくら」でも出せる、会場でも成金続出。錯視図形オモチャです。
(5) 水銀スイッチ 「青淵」寄稿文とともに水銀の利用可能性のお話しでした。
(6) 投レンゲ興 私としてはこれが最高。何ともすばらしい、面白い。会場はここで休憩。しかし休憩中も高得点目指し、エイッ。最高得点「お勘定」が出ました。・・・「チン」。
(7) 金のシャチホコ バッグクロージャーからの発想とは、輝きがあります
(8) ビックリボンド 「メビウスの帯」にハマってしまうと、こうなってしまいます。常に相手を見ておかないといけません。人を幸せにするオモチャ?です。
(9) なんちゃってYouTuber ユーチューブへの大胆な挑戦、野望と見ました。
(10) ねずみさんとぞうさん やさしく摩擦についての、お勉強。説得力があります。
(11) スタコラスイスイ(物づくり) 全員、楽しく登ることができました。
以上ですが、到底書ききれませんでした。市原様、お忙しい中、本当にありがとうございました。益々の科学オモチャ普及と、人々へ幸せを提供するご活動、大いに期待しています。

第728回 日曜発明学校(2019/10/13)

 午前は、社会福祉法人名古屋市総合リハビリテーション事業団なごや福祉用具プラザの田中芳則様より、「福祉現場のニーズに合ったモノづくり」のご講演をいただきました。
多くの福祉用具の実物、資料を会場にお持ちいただき、大変分りやすいお話しを、時間を延長してご講演いただきました。延長の理由は、講演途中に入れていただいた「現物に実際に触れて使う」時間が、あまりにも盛り上がりすぎ、時間超過となったのが理由です。お持ちいただいた福祉用具の数々、いずれも、すばらしい工夫が盛り込まれ、納得・感嘆の声が絶えませんでした。

   
さて、お話しの内容は、まず、リハビリテーションセンター・なごや福祉用具プラザ様のご紹介がありました。思い浮かぶ福祉用具ではなく、パソコン支援や介護ロボットへも取組まれていること、流石、時代に合わせた対応をしておられます。プラザの中には工房も備わっており、そこで、利用される方に合わせた、きめ細かな対応をされているとのことでした。
田中様の自己紹介もありました。病院でエンジニア、大学で教鞭を取られていたなど、一貫して福祉用具関連の経験をされた後、現在はプラザで「リハビリテーション工学技師」をされています。子供の頃に、サンダーバード2号に影響を受けられたとのこと、よく解りました。(救助に必要な多種多様な機械や車両などを運ぶ2号です。私も、飛行機の胴体部分に入れて運ぶ、その発想のダイナミックさや新鮮さに、ワクワクしていました。)
福祉用具について、基本的なことを教えていただきました。分類、利用する目的、種類、選定適合など、しっかりした基盤の上で成り立っている仕事であることが、理解できました。
また「東研からのリクエストに応えて」として、福祉用具のトレンドのお話しを入れていただき、本当にありがたいことです。車椅子・杖・歩行器・歩行車・排泄補助・入浴補助など、今の時点の最新情報をいただきました。身近に利用されることのある方にとっては、覚えておきたい情報満載でした。
その後に、お持ちいただきました福祉用具の「触れて使う」時間帯です。最も記憶に残るのは、田中様一押しのスニーカーでした。そのネタを披露いただいた際には、会場から一斉に「へぇーー」「すっばらしい!」「これはすごい!」「なんという発想・・・」など、どよめきに近い声が上がりました。忘れることはできません。
各種の杖、車椅子のストッパー、シューヘルパーなど、いずれも刺激のあるご説明であり、また、実際に触れることができました。本当に勉強となる用具ばかりでした。
後半は、私たちの参考になるお話しを組んでいただきました。自助具です。「Self-Help-Devicesの直訳です。様々な市販品があり、まずそれを利用することがよろしい。ただし、市販品で解決できない場合には、個別製作に入る。これが自助具利用の手順です。」と教えていただきました。利用される方の話をしっかりと聴き、妥協点を見出しながら製作する。普段から配慮されている要点を説明いただきました。数々の自助具製作の事例がありましたが、残念ながら時間が少なく、もっとご説明いただきたいところでした。
福祉用具という世界を、やさしく、丁寧に、私どもに興味ある話としていただきました。田中様、本当にありがとうございました。益々のご活躍を期待しています。

第727回 日曜発明学校(2019/9/8)

午前は、加藤電機株式会社代表取締役社長の加藤学様より、「人を守る発明とは」のご講演でした。実現へ仲介いただいた天木様にもお越しいただきました。お忙しい中、誠にありがとうございました。
会社のある半田市、半島というハンディキャップがあります、という入り方でした。また、「加藤」姓は、一般的には加賀の藤原一族が起源ですが、家紋から、名古屋城築城の名手、加藤清正公と同系ではないかという、なかなか聞くことのできないお話を、自己紹介としていただきました。初のお孫さんのご報告もありました。おめでとうございます。


さて、ご講演は、タイトルにある「人を守る発明」について、一貫したお話しでした。どうしても利益優先・ビジネス感覚で新しいものが生まれるですが、儲けばかりでない新しいチャレンジもある、といったメッセージを感じました。『SANフラワー』という、全く斬新で価値のある新サービスについて、果敢に挑戦されている中、儲けばかりでない取り組みもされていること、誠に頭が下がる思いであります。「人を守る」ため、今の最新の技術を使い、ご自身の発明を加え、普及促進に努力をされている活動は、多くの方の課題を解決することを目標とされており、心より期待しております。さわやかな余韻の残るご講演でした。
内容的には、まず社長ご自身と発明の関係について、数多くのエピソードをご披露いただきました。何と、中学卒業時に既に大発明、カセットテープの爪スライド方式を考案され、企業にも採用されたという驚くべきお話しがありました。(フロッピーディスクのDr中松を思い出してしまいました。)その後、学生時代から東芝時代のお話しです。高度な研究の数々であるため、酸化物高温超電導・ランタノイド・4ケルビン・スパックリング装置のなどという単語が目の前を通り過ぎました。高度な発明もされたとのことです。(すごい。)スタートレックの話は分りました。カーク船長、Mrスポック。発明・智慧の基のなったとのことです(確か、Mrカトーもいたような・・・)。東芝を止める際の引き留めエピソードも、味のあるオチをつけていただき、人のことより自分が第一という世界が垣間見られました。
その後、現在の会社で展開されている事業、国内外の多くの著名な方とのお付き合いから、その方々の判断の良さなど、ここにも、これからの事業に必要な要素があるというメッセージを感じ取りました。ユニクロ柳井さん「いいアイデアだ。3ケ月後は儲かるの?」。狙撃されても死ななかった國松警察長長官からは、事業へ背中をたたかれた、というお話しなどから、「人を守る」サービスを立ち上げてこられた経緯が理解することができました。また、その間には、加藤社長の高度な特許も含まれているとのことでした。
ソクラテス曰く「哲学とは、人間の世界を智慧と愛でより良くすること」。愛知とは「知を愛する」、愛知ハンディキャップ半田市からの「人を守る」サービスに繋がるとのことです。
多くのエピソード・話をいただきました。書ききれませんが、「何かのテーマを持っておき、ガチガチでなくリラックスしている時に、私は、多くのひらめきがあった。特にフランスベッド」とのアドバイスもありました。「人を守る」サービス、益々のご発展を期待しております。

第726回 日曜発明学校(2019/8/11)

午前の講演は、東研会員、KGコーポレーションの北川四郎様でした。テーマを「アマゾンへの出品経験をお話しします」として、ご経験談をお話しいただきました。
まず、北川様からのメッセージをお伝えしないといけません。それは、
『パソコンのパの字も知らない世代ではあるが、息子に教えてもらいつつ何とか操作を覚え、アマゾンにもメールや電話(長い時は3時間も)でサポートしてもらい、現在、実際に商品販売をしている。東研の皆様も、試作品でもいいので、アマゾンに登録すれば、やる気・元気につながりますよ』というものでした。『東研でもネット販売のお話しがありますが、自分の経験談も参考にしてもらいたい』とのことで、北川様からお話しを伺うことができました。


お話しの要点を以下とします。
まず、販売をされている対象商品についてのお話しです。会社時代に扱われていたミスト関連の商品、それらの機能をよく承知していたのがベース。そこで、ネットを通じ、特にミスト商品の用途説明までを丁寧にした販売を目指そう、ということで思い立ったとのことです。 ネットセミナーで勉強などを経て、アマゾンを知るに至り、2013年7月にアマゾンへの商品初登録となります。
私たちの参考となるアマゾンへの出品手続きについて、いくつかに分けて説明いただきました。
【事前準備】ブランド名・品番・品名・パッケージ・写真準備、工業所有権、口座・クレジットカードの準備など。登録までにも、いくつものハードルがあったことがわかります。取引認可に、北川様の場合、2ケ月もかかったとのことです。
【登録手続き】大口出品・小口出品の違い、出品にかかる手数料、アマゾンのFBA(商品を保管してもらい出荷してもらうサービス)の利用有無などを確定します。
【販売契約】注文に対する不良率(1%未満でないと取引停止も)、商品自体の信頼性基準、商品のコンディション、商品の安全性、契約違反となる商品。これらを遵守する必要もあります。
【受注後の作業】出荷遅延率、プライム当日発送、出荷前後でのキャンセル手続き、運送会社指定、納品書作成など、規準の即した作業も大変だとのことです。
これらいくつものハードルを越え、現在では、約100商品の登録をされています。商品自体の数は多くなく、さまざまな部品と組合せたものをひとつの商品とされています。即ち、用途別の商品として、丁寧な説明文をつけた商品展開をされているのです。説明文の中には、東研での受賞実績も挙げてもらっています。
現在の北川様は、日々の販売状況を楽しんでおられる様です。アマゾンの出品者へのサービス、例えばセラーフォーラムなどに書きこまれている情報を活用し、トラブル対策・事前予防などをされているというお話しもありました。
ネット販売という未知の世界に果敢に挑戦をされ、元気に活動をしておられるご経験談、大変参考になりました。益々のご発展を期待しております。本当にありがとうございました。

第725回 日曜発明学校(2019/7/14)

午前の講演は、株式会社トッププロダクツ代表取締役の遠山義勝様でした。テーマを「関の刃物、アイデアを商品化するポイント」として、関の刃物文化と、アイデア品の提案のコツ、さらには具体的なコスト構造などを教えていただきました。
お話しに際し、9種類もの商品を会場内に回していただき、手に取りながら話を伺うことができました。「この話は、これか!」「さっきの話は、ここだ!」などと、良く分るお話しとしていただいたのです。


まず、「折れず曲がらずよく切れる」といわれる、関の刃物の歴史のお話がありました。室町から戦国時代に全盛期があり、「関の孫六」商標の変遷、明治の廃刀令が大きく産業衰勢に影響したことの説明がありました。知っていそうで知らない話であり、また、刃物のことわざが多い事、「刃折れ矢尽きる」「両刃の剣」「ヤキを入れる」「元の鞘に収まる」「鍔迫り合い」など、日本文化に直結した刃物文化を、再度見返すことができました。
刃物の産地、燕三条、堺、兵庫小野などとの比較もありました。同じ刃物と言えども、それぞれに、得手不得手があり、また販売ルートが異なるため、得意分野以外は中々手が出しづらい環境になっていることです。アイデア品の提案についても、その観点をもって行動をする必要があるとのアドバイスもありました。関は包丁・カッター系。
その後、回覧の9商品についての説明です。「今、どこに回っていますか?」と、それぞれの商品に注目が集まった後、商品別の説明となります。商品開発時の特別話、マスコミ出演実績、東急ハンズなどでの販売実績、ヒット商品・ロングセラー商品となっている理由など、それぞれに刺激ある、興味のつきないお話しでした。多くのエピソードを入れていただきました。
その中には、知的財産権の要素も入れてもらっています。提案者が権利化をどの程度行っていた商品であるかなど、意匠や特許権についての対策なども、しっかりと説明いただきました。23年間で、ご自身で作られたものは1つ、と謙遜されてもいました。また、デザイナーによる洗練化されたデザイン・モニタリングの活用についても、実績に裏付けられたお話しでした。
私が最も参考にさせていただいたのが、商品の流通過程の、取引金額の変遷です。例えば、1000円で小売される商品について、メーカー側はいくらで製作しないと商売にならないのか。答えを聞いて、誠に理不尽と感じてしまいました。東研で勉強していることは、その製作にかかる費用に一部、アイデア段階だけです。しかし、この段階が、より価値ある活動を、認めてもらいたいものです。流通過程のそれぞれに、コストが掛るのはよく分りますが、製造者にはもっと多くの利益配分が必要と、私は感じてしまいました。
その他、グローバル化時代の考え方、アイデアをメーカーへ提案する際のポイントなど、話の全体を、長年の実績に裏打ちされた、本当に為になるお話しをいただきました。
遠山様、本当にありがとうございました。この後、東研メンバーからの提案があった際には、よろしくお願いします。トッププロダクツ様の益々のご発展を期待しております。

第724回 日曜発明学校(2019/6/9)

6月講演は、創意国際特許事務所一日一発明弁理士、東研顧問の内田昌宏様でした。今回は、2年振りの登壇です。テーマを「一日一発明で令和時代を生き抜く」として、私たちに発明とともに楽しく生活するポイントを教えていただきました。

まず、特許などの権利は何のためにあるのか、というお話し。『権利は、「業:なりわい」として実施する権利であるため、事業化していかないと意味がない。事業化するには、まず個人事業主として始めるのが良い。その上で、一日一発明などしてゆけば、いずれ成功につながる。社会的には、副業・起業が脚光を浴びる時代であり、それには、一日一発明は効果的です。』ということが記憶に残っています。
続いて記憶に残っていることは、成功する確率のお話しです。『確率の事例として、東京マラソン参加の抽選は、一部事情を除いて、ほほ運であること。宝くじの当選は、運の世界。弁理士の合格は、運だけではない確率。同じ確率でも意味が違う。その上で、発明アイデアがヒットする確率は、身近な資料から計算(多分、内田先生独自の計算と思われる)すれば、「1793分の1」となっている。千に3つといわれている数字よりは確率として小さいが、千・二千と発明品を考えれば、その中にヒットするアイデアが出る。』というお話しでした。
また、一日一発明の意義についての内容も覚えています。『まず、脳が活性化されます。生活も活き活きとし、健康で豊かな生活が実感できます。個人として、商品化を通し、社会に貢献できるという、すばらしい目標も出来るのです。』というものです。内田先生ご自身の発明を書き記されている、発明手帳・発明ノートを、披露いただきました。趣味の登山・ランニング関係の発明や、モノではない、しくみ的のアイデアなども発明であること、さらには、ご自身の数多くの発明を分類・分析されていることなど、勉強になりました。

市民発明家として、儲からなくとも、楽しく、生き生きとして、時間に余裕を持って生活する発明人生のすばらしさについて、以前のご講演内容にも増して、さらに強く認識できました。内田先生、本当にありがとうございました。

第723回 日曜発明学校(2019/5/12)

東研60周年記念の特別講演には、中日新聞論説委員の飯尾様にお越しいただきました。テーマを「持続可能性の時代に」として、今の時代と、発明活動の関係につき、お話しをいただきました。東研60周年に合わせ、60年続いているクラウンズ(ゴルフ)を例に挙げられ、こんなに続ける事は、大変めずらしいことであると、お褒めいただくところから始まりました。
お忙しい中、本当にありがとうございました。以下、ご講演の要約となります。

1960~70年代の高度成長時代には、荒地開発用の科学肥料としてチッソが必要であることを第一とし、大きな公害問題が発生してしまったのです。四日市公害もしかり。この頃の学会では、例えば公害物質であっても、広大で無尽蔵の海の水、これが薄めてくれる、などという、誠に環境意識が欠けていた時代でもあります。
しかし、その後の研究や、阪神大震災時の耕作地の荒廃実例などにより、環境は人が創るもの、人は環境維持を続けるもの、という認識が芽生えてきたのです。

海はでっかい水たまり、しかし既に「1.1℃」も上昇しています。このヒートアイランド現象始め、数多く現われている環境問題や困難な課題に対し、先進国が活動を始めました。
2001年には、MDGsという目標を作りました。産業の強靭化においても、不平等をなくす活動も、暮らしのインフラを整備する場合も、プラスチックの削減行動も。ミレニアム千年紀を意識した活動が必要であるということです。近年、MDGsを受け継ぎ、新たな17の開発目標を宣言し、人類として対応することになりました。これが、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決めらました。
しかし、現在、この目標は達成されていません。間もなく開催される大阪G20でも、この内容も話し合われます。脱炭素社会、CO2排出ゼロの技術革新などが、特に注目される業界になってきます。安城市にメトロ工業という会社があります。あのエジソンがつくった会社GE、そのGEが注目している企業であり、カーボンフィラメントを製作しています。大きな環境貢献が期待される技術です。

高度な技術だけでなく、私たちにもできる環境活動があります。私たちは、暮らしの中での工夫をしています。もったいない意識、昔ながらの生活の知恵、これらを大切に生活しています。これらには、SDGs持続可能性のヒントが多く含まれているのです。それらを、さらに工夫するという発明活動、ここが大きく期待されるところなのです。例えば、ペットボトルは、自然に分解するのに400年もかかるのです。何とか、しましょう。
世界中が持続可能性の時代です。これを強く意識し、発明活動されることを期待します。