第731回 日曜発明学校(2020/1/12)

今年初のご講演は、有限会社川崎商店の代表取締役社長、川崎紘嗣様(川崎文具店の店主様)による『究極の筆記具「ぬらぬら書ける万年筆の世界」』でした。万年筆についての「ペン沼」「インク沼」「紙沼」計12時間の講演コースもお持ちとのこと、その内容を凝縮し、やさしく説明いただきました。要点をまとめていただいた資料もご準備いただきました。本当にありがとうございました。

お話しの始まりは、「現在、万年筆を使っている人はおられますか?」の問い掛けからでした。3名の方が挙手されましたが、ほとんどの方は、「過去には使ったことがある」ということでした。しかし、川崎様のお話しを聞いた後は、かなりの方が、日常から万年筆を使いたい、と思ったに違いありません。「完成された筆記具」「書けば書くほど成長する筆記具」「使い続けると、その人に合わせ変わってゆく」などと聞けば、にわか万年筆ファンになってしまいます。さらに、万年筆は、「発明の塊り」と聞けば、使う以外の選択肢がありません。(と、私は思った次第です。)
まず、万年筆についての多くの知識をいただきました。なぜ成長する筆記具なのか。技術的・構造的な説明を本当に丁寧にいただき、その後に、今回のタイトルとしていただきました「ぬらぬら」についてお教えいただいたのです。ほとんど使うことのない「ぬらぬら」という表現です。ペン先は、最初は「カリカリ」とのこと、何となくわかります。それを長年使い続けることによって、その方の書き方のクセ、強さ・速度やペン先と紙との接地角度などに合わせるように、徐々にペン先が削れてゆくとのことです、従って愛用の万年筆は他人に貸すものではない、ともお教えいただきました。なるほど、愛用の筆記具とは、こんなイメージで生まれるのか、と思いました。
万年筆には、深い世界、3つの沼があるということで、それぞれの沼について、わかりやすく、また多くのエピソードを入れながらご説明いただきました。技術的・科学的な部分も入れられ、説得力ある、万年筆の奥深さのお話しでした。
インク沼のお話しは、まさに川崎様の専門分野となります。日本には数人しかいない万年筆のインク製作者(クリエーター)なのです。創作された独自のインクを求め、全国から大垣のお店に来られるとのこと、東京の展示会でも独自インクが瞬時に売り切れになるなどの人気「万年筆インク」の創作のお話しでした。独自インクには、川崎様が命名されます。「大柿セピア」「月華紅欄」「幽伽柳紺」「梅花無盡蔵」という名のオリジナルカラーのインクは、会場で万年筆に入れていただくサービスもありました。(私は「幽伽柳紺」。すばらしい色です。)インクを創作する際には、名前と物語が必要ともお教えいただきました。深く味のあるお話しです。
最後にあった、男の三種の神器「万年筆」「時計」「ライター」のお話しが、私の一番記憶したいことでした。タバコを吸わない川崎様ですが、相手方のことを思い、常にライターを持っておられるということです。これが紳士。
万年筆のすばらしさ、毎日使う筆記具である。ということがよくわかりました。お忙しい中、本当にありがとうございました。益々のご発展を期待しております。

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